竜田揚げと名付けられた由来
「竜田揚げの名前は、百人一首にも収録されている和歌<千早ぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは>に由来しています」と言うのは、歳時記×食文化研究所の北野智子さんです。
歌は、神々の時代にさえ竜田川がくれない色に染め上がるなんて聞いたことがないという意味です。竜田川は奈良県西部にある竜田山のほとりを流れています。
「竜田川の水面を真っ赤な紅葉が染め尽くし、美しい錦のくくり染め(しぼり染めのこと)の布のように見える風景を詠んだ歌です。竜田揚げは、鶏肉や豚肉、鯨、魚などに、醤油、みりん、酒などで下味をつけ、葛粉や片栗粉をまぶして揚げた料理です。からりと揚がった衣に透けて見える醤油色(=紅い色)とその上に浮かぶ白い点模様を『竜田の錦』=『紅葉』に見立てて命名された風情ある日本料理の名前なのです」(北野さん)
ちなみに、竜田山は秋の女神「竜田姫」が司り、その袖を振って山々を染めていくことから、竜田揚げは秋にふさわしい料理だと北野さんは付け加えます。
歌は、神々の時代にさえ竜田川がくれない色に染め上がるなんて聞いたことがないという意味です。竜田川は奈良県西部にある竜田山のほとりを流れています。
「竜田川の水面を真っ赤な紅葉が染め尽くし、美しい錦のくくり染め(しぼり染めのこと)の布のように見える風景を詠んだ歌です。竜田揚げは、鶏肉や豚肉、鯨、魚などに、醤油、みりん、酒などで下味をつけ、葛粉や片栗粉をまぶして揚げた料理です。からりと揚がった衣に透けて見える醤油色(=紅い色)とその上に浮かぶ白い点模様を『竜田の錦』=『紅葉』に見立てて命名された風情ある日本料理の名前なのです」(北野さん)
ちなみに、竜田山は秋の女神「竜田姫」が司り、その袖を振って山々を染めていくことから、竜田揚げは秋にふさわしい料理だと北野さんは付け加えます。
ファストフード店や給食でも
「この風情ある日本料理は、ファストフード店のメニューに登場するまでになりました。1991年に『マクドナルド』が『チキンタツタ』という名前で竜田揚げをはさんだハンバーガーを発売、販売終了・復活を経て今も年に1回のペースで期間限定販売されている人気メニューです。
また、かつて学校給食に出たことで、現在60〜70代の方なら懐かしく思われるのが『鯨の竜田揚げ』でしょう。給食メニューとしては風情のある一品でしたが、鯨肉の臭みを取るために竜田揚げにしたともされています」(北野さん)
また、かつて学校給食に出たことで、現在60〜70代の方なら懐かしく思われるのが『鯨の竜田揚げ』でしょう。給食メニューとしては風情のある一品でしたが、鯨肉の臭みを取るために竜田揚げにしたともされています」(北野さん)
違いは「下味の醤油の有無」と「衣に使う葛粉・片栗粉」
「一方、『唐揚げ』という調理法は、『空揚げ』『から揚げ』とも書くことからも、もともとは食材に何もつけずに素揚げすることをいったようです。
つまり、竜田揚げとの違いは『紅葉の紅い色』に見立てる下味の醤油の有無、また『くくり染め』に見立てるため葛粉や片栗粉を使うところではないでしょうか。ただし、現在では下味をつけたものや、小麦粉だけでなく片栗粉をまぶして揚げた唐揚げも多く、その違いは分かりにくくなっているようです」(北野さん)
川面に映る紅葉が由来の竜田揚げ。この時期は唐揚げの代わりに、下味に醤油を使って竜田揚げをつくってみてはいかがでしょうか。
つまり、竜田揚げとの違いは『紅葉の紅い色』に見立てる下味の醤油の有無、また『くくり染め』に見立てるため葛粉や片栗粉を使うところではないでしょうか。ただし、現在では下味をつけたものや、小麦粉だけでなく片栗粉をまぶして揚げた唐揚げも多く、その違いは分かりにくくなっているようです」(北野さん)
川面に映る紅葉が由来の竜田揚げ。この時期は唐揚げの代わりに、下味に醤油を使って竜田揚げをつくってみてはいかがでしょうか。