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東海道南方沖の深発地震で異常震域 南海トラフ巨大地震とは別系統

2020/12/29 07:11 ウェザーニュース

11月18日(水)10時01分頃、東京千代田区などで震度1を観測する地震がありました。震源地は東海道南方沖で、震源の深さは約450km、地震の規模はM5.1と推定されます。この地震による津波の心配はありません。

深発地震による「異常震域」と呼ばれる震度分布がみられ、震源に近い陸地よりも離れた場所で揺れが観測されました。

深発地震による異常震域とは

模式図
今回の地震は非常に深い所で発生する「深発地震」と呼ばれるものです。

多くの地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布しますが、今回の地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って遠方の地域に揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布となりました。

三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海にかけては同様の深発地震が発生することがしばしばあり、数年に一度M6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。

1984年1月1日には三重県南東沖でM7.0の地震が発生し、東京都千代田区や横浜市で震度4を観測しました。こうした地震は津波の発生こそないものの、大きな揺れを伴うことがあるため、注意が必要です。

震源は南海トラフ巨大地震と別

日本列島周辺のプレート
今回の地震は、震源の深さが速報値で約420kmと、かなり深い地震でした。日本海溝から西に向かって沈み込む太平洋プレートの周辺で発生した地震とみられます。

一方、一般的な「南海トラフ巨大地震」はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む境界付近で発生する巨大地震です。想定される震源の深さは10kmから40km程度とされています。

これらの違いから、今回の地震の発生メカニズムは南海トラフ巨大地震との直接の関連はありません。また、地震の規模からは、誘発地震の危険性などは非常に小さいと考えられます。
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