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いま発熱したら?今季のインフルエンザ治療は例年と異なる点も

2020/10/26 09:53 ウェザーニュース

例年、冬に1000万人前後が感染するインフルエンザ。今年は10月1日から65歳以上の人など定期接種対象者のワクチン接種が始まり、それ以外の人も10月26日からワクチン接種を受けられます。

ところで、これまではインフルエンザにかかったと思ったら「かかりつけ医」に診てもらいました。しかし、今シーズンは新型コロナウイルス感染の可能性もあるため、厚生労働省は医療機関を直接受診するのではなく、まず「かかりつけ医」に電話相談して、その指示を受けることを呼びかけています。

自院で新型コロナウイルス検査ができなければ紹介

なぜ「かかりつけ医」を直接受診できないのでしょうか。

「この時期に発熱があれば、新型コロナウイルスかインフルエンザが疑われます。しかし、どちらも似た症状なので検査をしないと区別できないのですが、新型コロナウイルスの検査をできる『かかりつけ医』は少ないのです。そこで『かかりつけ医』に電話相談して、新型コロナウイルスの検査ができる医療機関を紹介することにしたのです」というのは、横浜相原病院(横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長です。

「かかりつけ医」がいない人はどうしたらよいのでしょうか。

「地域の『受診・相談センター』に相談してください。これまで新型コロナウイルスの相談を受けていた『帰国者・接触者相談センター』が改称したもので、新型コロナウイルスのPCR検査や抗体検査を受けられる医療機関や検査機関を紹介してくれます」(吉田院長)

新型コロナウイルス検査ができる「かかりつけ医」が増える?

インフルエンザと新型コロナウイルスが同時流行することを想定して、厚労省は診療体制の整備を急いでいます。

「具体的には、新型コロナウイルスの検査ができる『かかりつけ医』を広く募っています。この場合の検査は『抗体検査』といって1時間ほどで結果が出ますから、インフルエンザ検査も同時に行えます」(吉田院長)

新型コロナウイルスの検査で陽性なら、新型コロナウイルスの治療ができる医療機関に搬送することになります。新型コロナウイルスが陰性で、インフルエンザが陽性なら、「かかりつけ医」が抗インフルエンザ薬などで治療することになります。

今季は検査なしでインフルエンザ治療も

「なお、『かかりつけ医』で新型コロナウイルスの検査ができない場合は、今季に限ってインフルエンザ検査をせずに臨床症状だけで抗インフルエンザ薬を処方できるようになりました。インフルエンザ検査をすると、医療者が新型コロナウイルスに感染する可能性があるからです」(吉田院長)

抗インフルエンザ薬で熱が下がれば一件落着。しかし、抗インフルエンザ薬で治療しても熱が下がらなければ新型コロナウイルスの可能性があるため、「かかりつけ医」が紹介する新型コロナウイルスの検査を受けられる医療機関で診てもらうことになります。

今季のインフルエンザ治療は例年と違います。発熱したら、まず「かかりつけ医」か「受診・相談センター」に電話相談することを覚えておいてください。
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参考資料など

厚生労働省「次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について」