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「長芋」と「大和芋」なにが違う? すりおろしに適しているのは?

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2020/10/24 10:46 ウェザーニュース

これから旬を迎える「山芋」。スーパーなどの店頭では、細長いバットのような形、イチョウの葉のような形、黒くて石のような形の「山芋」を見かけますが、それぞれ味や食べ方に違いはあるのでしょうか。野菜ソムリエプロの吉田謹子さんに伺いました。

「山芋」は「ヤマノイモ科」の総称だった

「山芋」「長芋」「大和芋」などいろんな呼び名があり、混乱している人も多いようです。

「『山芋』は『ヤマノイモ科』に属する大和芋、つくね芋などの総称のことで、『山芋』という芋の品種はありません。スーパーでよく見る長芋もこのヤマノイモ科に含まれます」(吉田さん)

その山芋は、世界でも珍しい、生で食べられる種類の芋だそうです。なぜ生でも食べられるのでしょうか?

「芋類にはでんぷんが大量に含まれますが、生のでんぷんは消化が悪く、生食すると消化不良を起こすことがあります。しかし、山芋にはでんぷんの一部を分解する消化酵素が含まれており、生でも消化しやすいので、生食できるのです。

中国では『山薬(さんやく)』と呼ばれ、滋養強壮や消化促進の薬として用いられてきました。日本でも滋養強壮の漢方薬に配合されており、『山のうなぎ』という別名を持つスタミナ食材なのです」(吉田さん)

すりおろしに適している芋は?

いろいろな種類がある山芋。それぞれ味や食べ方に違いはあるのでしょうか。

「山芋の中でも、スーパーで見かけるのは長芋と大和芋が多いです。長芋はひげ根が生えたバットのような長細い形をしている芋で、12月ごろから収穫される『秋堀り』と4月ごろから収穫される『春掘り』があります。今の時期は『秋堀り』が出回っていますが、『秋掘り』は、みずみずしく皮が薄いので、ひげ根をガスでさっと焼くと、皮ごと食べることができます。

また、粘りが少なく、生だとシャリシャリとした食感が良いので、千切りにして酢のものにするとおいしくいただけます。さらに、火を通すことで、ポクポクした食感に変わるので、調理によって食感の違いも楽しめます。

一方の大和芋は、イチョウの葉のような形をしています。長芋に比べて水分が少なく粘りが強いのが特徴で、すりおろして食べるのに適しています。この粘りを生かして、だし汁や卵で割ってトロロ汁にして食べるのがオススメです。

スーパーにはあまり並ばないのが石のような形をしたつくね芋です。つくね芋はすりおろすと大和芋よりもっと粘りが強く、トロロはもちろん、丸めて素揚げにするとお餅のような食感になります」(吉田さん)

山芋には滋養強壮のほかに、白髪や抜け毛を防いだり、肌を守るビタミン、むくみを取る効果のあるミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。漢方薬にも使われている山芋をおいしく食べてこれから寒くなる冬に備えましょう。
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