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喉のイガイガ、風邪予防に唾液パワー! 最大限に活用するには?

2020/10/22 05:55 ウェザーニュース

太極拳や気功など中国の武術は、唾液を口内に集め、それを飲み込んでから始めるといいます。唾液は心身を活性化させ、殺菌作用があり、消化も助けてくれます。秋が深まり、喉のイガイガや風邪が気になるこの時期、唾液パワーを活用して健康増進してみませんか。

心身が弱っていると唾液が減る

朝起きて口の中がネバネバする、口臭が気になる、あるいは口内炎ができているのに気づくことはありませんか。それは唾液の分泌が減っているせいかもしれません。

「唾液の量は心身の健康を示すバロメーターになります。喉がイガイガする、扁桃腺が腫れる、風邪をひきやすい、ストレスが続いていて口が渇いているといった症状は、心身が弱っていて、唾液の分泌が足りていない可能性が高いです」と源保堂鍼灸院(東京都渋谷区)の瀬戸郁保先生はいいます。

唾液には2種類ある

東洋医学では、唾液は2種類あるといいます。

「1つは涎(よだれ・エン)です。よだれは東洋医学でいう『脾(ひ=胃腸など消化吸収に関する臓器)』、つまり消化力や吸収力、食欲といった胃腸の機能と関係し、胃腸が元気だと、よだれもしっかり出ます。美味しそうなものを目の前にすれば誰でもよだれが出ます。それがよだれです」(瀬戸先生)

もう1つの唾液が唾(つばき・ダ)です。つばきは年齢や体力の変化に敏感です。

「よだれは美味しそうなものを見ればドバっと出てきますが、つばきはジワッと湧き出てきます。高齢になると唾液の出が悪くなりますが、年齢とともに『腎』の力が下がったからです。つばきが少なくなると、口内が乾燥して口内環境が悪くなり、虫歯や口内炎などができやすくなります。

また、極度に緊張すると『固唾(かたず)を飲む』という状態になりますが、つばきは生命力が脅かされたときに分泌され、生命機能を維持する働きがあります」(瀬戸先生)

唾液を分泌させるツボ

このように様々な作用を持つ唾液ですが、体調が低下すると分泌が減ります。しかし、少し刺激を与えてあげるだけで、唾液が出やすくなり、唾液パワーを活用できます。

「酸っぱい味を想像したり、酸っぱいものを食べたりすると唾液の分泌が促されます。また、のどぼとけの右にある外玉液(がいぎょくえき)、左にある外金津(がいきんしん)を、軽く触れるくらいの圧で押すとじわじわと唾液が出てきます。1~3分くらい押し続けてあげれば十分な唾液が分泌されるでしょう」(瀬戸先生)

お腹を温めても唾液が分泌する

おヘソと下腹部を温めても唾液が分泌されます。

「背筋を伸ばして楽な姿勢で座ってください。正座がオススメです。両手のひらを擦り合わせて温め、その手をおヘソから下腹部に置いて温めてあげてください。温かい手のひらをお腹に当ててジッと待っていると、口内に唾液が出てきますので、しばらく溜めてからゴクッと飲んでください」(瀬戸先生)

これらを組み合わせてやれば相乗効果も得られます。最初は難しいかもしれませんが慣れると簡単に唾液が出るようになります。

私たちは意識していませんが、唾液を飲み込むと心身が活性化されるのです。誰もが唾液パワーを持っているといえます。日頃から唾液の分泌を促し、喉のイガイガや風邪に負けず、健康に過ごしてください。

なお、唾液がなかなか出ない場合は、シェーグレン症候群や糖尿病といった病気の可能性もあります。病院で診てもらってください。

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