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10月17日は「上水道の日」 上水、中水、下水の違いとは?

2020/10/17 06:37 ウェザーニュース

今日10月17日は「上水道の日」と定められています。1887(明治20)年に現在の神奈川県横浜市に日本で初めての近代的な上水道が造られ、10月17日に給水を開始したことが由来とされています。

ところで、上水道のほかに下水道があることはよく知られていますが、近年は中水道という言葉がよく聞かれます。上水道、中水道、下水道とは何か、それぞれの違いについて調べてみました。

いつでも使える上水道

上水道とは、水道水などの飲用に適した水を供給する水道と、水道管やポンプなど供給のために必要な設備全般のことをいいます。上水道には水源が必要で、自然の川や湖沼、ダム湖といった地表水、比較的浅い地下を流れる伏流水、井戸水のように地下深くから汲み上げる地下水の3種類に大きく分けられます。

近代水道における上水道は、「ろ過した水に圧力を加えて鉄管で供給し、蛇口を開ければいつでも使えるもの」という定義がなされています。上水というと、歴史で学んだ「神田上水」「玉川上水」が思い浮かびますが、いずれも「ろ過していない水を木管による自然流下で江戸市中へ供給していたこと」などから、近代上水道の定義には当てはまりません。

横浜の最初の近代上水道は、道志(どうし)川が相模川に合流する地点(いまの相模湖付近)を水源とし、44キロ離れた市内の野毛山(のげやま)浄水場でろ過された水が鉄管により、各所に供給されました。技術指導にあたったのは、イギリス人技師のヘンリー・スペンサー・パーマーで、「日本の近代水道の父」と呼ばれています。

日本の上水道普及率は極めて高く、2018(平成30)年3月末時点で全国の97.9%に達しています。東京都・大阪府・沖縄県の100%をはじめとして、地下水が豊富なために井戸水の利用が多いことから最下位の熊本県でも、87.3%を占めています。

汚水をきれいにして川に戻す下水道

一方、下水道とは、水洗式トイレのし尿、生活排水や産業排水など、人間が生活するうえで生じた汚水を終末処理場に集め、衛生的な処理を施して「きれいな水」とし、川や湖などに戻す設備全般をいいます。雨水のみの排水管を設けてそのまま河川に戻す設備もあり、こちらも下水道に含まれます。

「おすい」「うすい」と刻まれたマンホールを目にしたことがあると思いますが、それが汚水管と雨水管を示したものです。

一般に下水道事業は市町村単位で行われますが、河川・湖沼などの流域を1単位として都道府県が事業主体となり、2つ以上の市町村の下水を集めて処理する「流域下水道」事業もあります。日本の下水道普及率は76%ですが、さらなる普及が進められています。

生活用水を再利用するのが中水道

中水道とは、上水道から供給されて生活用水として使った水をそのまま下水道に流さず、再生処理を施したうえで再利用する水と設備をいいます。再生水・雑用水などとも呼ばれ、飲用には適していないものの、現在では水洗トイレの用水や冷却・冷房用水、消火用水などに、広く使われています。

一人あたりの水資源量が少なくなり、渇水に見舞われやすい東京・福岡などの大都市圏で、貴重な水資源の有効活用のために中水道(再生・雑用水)の普及が進められています。もっとも効率的とされているのが一度使った水の循環利用(リサイクル)で、一つの建物の「個別循環」、複数の施設による「地区循環」、より大規模な「広域循環」の三つの方式が採られています。それぞれの方式を複合的に行っている地域もあります。

中水道のメリットは、水資源の循環型社会が促進され、上水道の節水と下水道の負荷低減、さらに都市河川の氾濫(はんらん)防止にも役立つとされています。また、個別循環では、水不足の際にもトイレの洗浄水の確保が可能なことが挙げられています。

10月17日の上水道の日をきっかけに、水資源の大切さを改めて考えてはいかがでしょうか。なお、「下水道の日」は9月10日、「東京水道の日」は12月1日と定められてもいます。
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参考資料など

神奈川県内広域水道企業団広報誌「みずき便り」、厚生労働省政策関連資料「水道の基本統計」、東京都都市整備局「貴重な水資源の有効利用のお願い」