facebook line twitter mail

冷凍食品の野菜、栄養は損なわれる?

2020/10/20 05:42 ウェザーニュース

お弁当やおうちごはんに大活躍の冷凍食品。グラタンやコロッケなどの加工食品だけではなく、冷凍食品には野菜もあります。
この夏は天候不順で野菜が高騰したため、冷凍野菜を活用した方も多いかもしれません。

野菜は1日350g摂るべき、と言われますが、冷凍食品の野菜の栄養価はどうなのでしょうか。これから旬を迎える野菜を中心に、管理栄養士の柴田聡美さんに伺いました。

ホウレンソウやニンジンはβカロテンが増加

まずは、これから旬を迎えるホウレンソウやニンジンについて教えてもらいました。

「ゆでたホウレンソウ(冬採り)と、ゆでた後冷凍した場合の栄養価を比較して変化をみてみると、冷凍はカルシウムが約2.5倍、βカロテンが約1.6倍、ビタミンK、マグネシウムが若干増加します。一方、大きく減少するのはカリウムが約1/5、ビタミンCが約1/6、葉酸が約1/2になります」(柴田さん)
「また、冬にかけてニンジンも旬を迎えますが、ゆでたものとゆでた後冷凍したものはホウレンソウと同じく、βカロテンが約1.3倍になります。逆に、カリウムやビタミンKなどは減少します。全体的にホウレンソウほど冷凍前後で栄養価に変化はないようです。βカロテンは強い抗酸化作用を持っているので、身体全般の老化防止や、肌・髪・爪を健康に保つ効果があると言われています。女性にはうれしい栄養素ですね」(柴田さん)

サトイモ、カボチャはほとんど変化なし

旬のサトイモや冬至に食べる習慣があるカボチャはどうでしょうか。

「サトイモはカルシウム、マグネシウム、リンなどのミネラル類が微増し、カリウムや葉酸が減少します。カボチャは、カルシウム、マグネシウム、リンなどが増加し、βカロテンがやや減少しますが、そこまで大きい変化はみられません」(柴田さん)

数値を比較する限り、冷凍だからといって栄養価が著しく低下することはないようです。

「特に一般的に販売されている冷凍食品は、急速冷凍などの技術で、冷凍しても食品の組織が壊れにくくなり、損なわれる栄養素はほとんどないようです。数値の比較から、βカロテンなど冷凍後に増える栄養素もあります。ただし、このように栄養素が増えることについては、検証事例も少なく、現時点で科学的な根拠を示すのは難しいようです」(柴田さん)

皮をむいたりゆでたりする手間が省ける上に、通常の野菜と変わらずに栄養も摂れる冷凍野菜。これから旬を迎える野菜も上手に使って、食卓を豊かにしましょう。

>>ウェザーニュース記事一覧