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今年の新米は出来がいい!? プロが教える注目の産地・品種やおいしいお米の選び方

2020/10/16 05:48 ウェザーニュース

収穫の秋を迎え、米も全国各地から「新米」の収穫・出荷がたけなわの時季がやってきました。そもそも新米の定義とはどのようなものか、また、おいしいお米はどのように選べばいいのか。

五ツ星お米マイスターの資格を持ち、東京・都立大学駅前で米穀店「スズノブ」を営む西島豊造さんに、新米をよりおいしく味わうためのテクニックを伺いました。

11月中旬に出そろう全国各地の新米

「令和2年産米を『新米』と言えるのは令和2年12月31日まで。令和3年1月1日以降に包装された令和2年産米(栽培米)は年を越したので、『新米』と表記することはできません。単に「令和2年産米」と表記されます。

新米は例年7月頃、沖縄・石垣島と鹿児島・種子島(たねがしま)産米の極めて少量の販売から始まって宮崎、鹿児島、高知と続き、関東、東北、北海道と全国に広がり、九州で麦の収穫後に植えたお米を最後に11月中旬、ようやく全国の新米が出そろいます」(西島さん)

長雨と猛暑が続いた今年の夏でしたが、新米に悪影響はなかったのでしょうか。

「7月までは長雨に苦しめられましたが、8月の猛暑によって生育の遅れを取り戻しました。猛暑を受けた年の米は、米粒の表面に張りがあり、中は柔らかめとなっているのが特徴です。今年、全国の作柄概況指数は101と平年を上回り、新米の出来がいい年といえるでしょう。秋口に台風や豪雨の直撃もなかったことから、とくに東北・北海道は106と良好です。

今年注目の産地・品種は、まず北海道JA新すながわの『低たんぱく ゆめぴりか 高度クリーン栽培米』、たんぱく質の含有量が6.8%以下のものです。ここ数年天候に恵まれなかった“道産米復活の年”を象徴する出来栄えと言っていいでしょう。また、新潟県JA北魚沼の『新之助』、島根県JAしまね隠岐(おき)地区本部の『島の香り藻塩米特選コシヒカリ』も注目の逸品です」(西島さん)

新潟の「新之助」は“ポスト・コシヒカリ”として期待の品種で、大粒でさらりとしたおにぎり向き。隠岐の「藻塩米」は海水に含まれる良質な塩分を、薄めて散布し育てたという特徴があるそうです。

精米年月日の新しいものを少量ずつ購入する

それでは、おいしい新米を選ぶ際には、どんなポイントをチェックすればいいのでしょうか。

「お米は精米した時から味が落ち始めますので、白米の場合は、できるだけ精米年月日の新しいものを選んでください。また、精米したての美味しいお米を楽しみたい場合は、一度にまとめて買うのではなく、1kg、2kgぐらいずつの少ない量を買うのが理想です。

さらに、袋にのぞき窓があれば、中のお米を見て、粒が大きくそろっていること、割れているお米がないことを確認してください。また、お米の色も基準の一つになります。半透明の乳白色がちょうど良い色とされているので、白くなりすぎているお米が少ない方がおすすめです。

こうしたお米がたくさん混じっていると、水っぽくペタッとした状態で炊けてしまうなど、食感が悪くなることがあります。

近年は“地域密着型”ともいえるさまざまなお米が、各地の生産者の努力・研究により生産されています。いまやお米は必ずしも主食ではなく、嗜好品(しこうひん)といってもいい存在になっています。購入するごとに産地や品種を変え、食べ比べてみて、自分の好みや炊飯器に合ったお米を選んでみるのもいいでしょう」(西島さん)

10月から11月にかけては、全国から届く新米が店頭に出そろってくる時季です。その中から、あなた好みの“マイ新米”を探しあててみるのはいかがでしょうか。

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