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かゆみや症状で判断できる!? 蚊とダニの刺され方の違い

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2020/09/29 11:15 ウェザーニュース

イライラするかゆみの蚊やダニによる“虫刺され”。消えたかと思えばぶり返し、いつもの虫刺され薬が効かなかったり水ぶくれになることもあります。虫刺され研究の第一人者・兵庫医科大学皮膚科学准教授の夏秋優先生に、詳しく教えていただきます。

秋に刺されやすくなる蚊も!

蚊というと夏に刺されるというイメージが強いようですが、秋に刺されやすくなる種類もあるといいます。

「5月〜8月に多いのが、いわゆる“ヤブカ”。その代表種が白黒のまだら模様をしたヒトスジシマカで、昼間に庭や公園、山間などで刺されることが多いです。一方、室内で夜間に刺されることが多いのが、アカイエカです。涼しくなってくると室内に侵入し、成虫で越冬するので晩秋や春先などにも刺します」(夏秋先生)

人を刺すダニとは

一方、ダニの場合、屋内で刺される可能性があるのは、主にイエダニとツメダニだそうです。

「イエダニは、天井裏などにいるネズミの巣に生息して、本来ネズミを吸血するものです。これが通風口や換気扇などから寝室に侵入して人の皮膚から吸血することがあるのです。

ツメダニは、カーペットや布団などに生息するヒョウヒダニをエサとしているダニです。ツメダニのいるカーペットや布団などに人がのって触れたとき偶発的に刺します。ちなみに、ヒョウヒダニはアレルゲンとして問題となることはありますが、人は刺しません」(夏秋先生)

かゆみの違いで判断できる?

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虫刺され跡をみて、蚊とダニを判断できるのでしょうか。

「一つひとつの皮膚症状から原因を判別するのはとても難しいです。かゆみのある発疹は、蚊もダニも両方とも刺したときに入る唾液の成分へのアレルギー反応であり、症状にはかなりの個人差があるからです。

このアレルギー反応には、『即時型反応』と『遅延型反応』があります。この2つは体内で起きているメカニズムが違い、即時型反応は刺された直後にかゆみを伴う赤い発疹が出て1〜2時間でおさまりますが、遅延型反応は刺された翌日以降に赤いしこりや水ぶくれが出て、かゆみが数日間ぶり返します。

即時型反応と遅延型反応のあらわれ方は年齢や体質によっても異なります。例えば、初めて蚊に刺された赤ちゃんは、かゆみや腫れが起きることはありません。何度か刺されるうちにまず遅延型反応があらわれるようになり、さらに刺され続けることで即時型反応もあらわれます。個人差がありますが、大人になると遅延型反応が弱くなり、やがて即時型反応のみになることが多いのです。

つまり、お母さんと小さな子どもが同じタイミングで刺されても、お母さんは即時型反応ですぐかゆくなり、子どもは翌々日に遅延型反応で赤いしこりができてかゆくなる、ということも起きるのです。遅延型反応は刺されてから症状が出るまでに時間があくので、原因がわかりにくくなります」(夏秋先生)

一方、ダニの場合は遅延型反応が多いようで、症状が出るまでかかる時間が、蚊かダニか判断する目安になるかもしれません。

「住宅環境の変化からダニに刺される機会が減っているので、即時型反応があらわれる人は比較的少ないようです。

また、それぞれ刺されやすい場所や時間帯、部位があるので、ある程度推測できます。蚊は顔や手足など露出している部位を刺すことが多いのに対し、イエダニは脇や太ももの内側、下腹部など、服に潜り込んで柔らかい部分を刺す性質があります」(夏秋先生)

刺された場合の対処法

何に刺されたかというよりも、即時型反応と遅延型反応で、対処が異なるといいます。

「即時型反応のかゆみや発疹は1〜2時間もすれば自然とおさまります。かゆみで掻いてしまうようなら、保冷剤で冷やしたり、市販の虫刺され薬を使ってもいいでしょう。虫刺され薬はLメントールなど清涼成分の入った一般的なものが効果的です。

遅延型反応の場合は、しこりや水ぶくれになり、かゆみが2〜3日ぶり返し、4日目くらいからおさまるのが特徴です。虫刺され薬は、ステロイドを含むものを選びます。ただ市販薬のステロイドは作用が弱めなので、腫れやかゆみがひどかったり、刺された数が多い場合は皮膚科を受診しましょう。

小さな子どもの場合は、まぶたを刺されて目が開けられないほど腫れたり、手のひら全体が腫れ上がるなど、強い反応になることもあります。注意したいのは、かゆみでかき壊してしまい、そこからばい菌が入ってトビヒなどになるケースです。飲み薬が必要なので、病院を受診してください」(夏秋先生)

かゆみなど虫刺されの症状は意外とストレスになるものです。正しい対処で、悪化させないようにしましょう。

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