西から東へ広がっているクマゼミの分布
「日本は生物多様性が豊かで、多数のセミが生息しています。また、南北に長く地方によって気候が異なるため、私たちには気づかない微妙な環境の違いに対応して、その地域にすむセミの相も違っています。
実際の日本のセミの分布と今回のアンケート結果は、ほぼ一致しているといえます。西日本はクマゼミの『シャシャシャ』、東日本はミンミンゼミの『ミーンミンミン』、日本海側のアブラゼミの『ジリジリジリ』はそれぞれ、地域を代表するセミの鳴き声です」(長谷川さん)
ただし、「意外」と感じられた結果もあったそうです。
「クマゼミが多いはずの鹿児島県やミンミンゼミの勢力圏であるはずの茨城県の結果は意外でした。鹿児島県の場合は、アブラゼミが優勢というアンケート結果ですが、一般的にクマゼミは日の出頃から午前9時頃にもっとも活動的に鳴くので、アンケートに回答した時間帯も影響したかもしれません」(長谷川さん)
近年、日本のセミの勢力分布図が変化しています。とくに「クマゼミの北上」が目立つ傾向のひとつだそうです。
「かつて、クマゼミが非常に多く生息するのは、瀬戸内海沿岸周辺で、東海地方では少ないセミでした。ところが、今回のアンケート結果でもわかるように、クマゼミの鳴き声が1番多く聞こえたという範囲は静岡県あたりまで、東へ広がっています。
私自身の経験でも、50年ほど前の愛知県名古屋市内で聞こえたセミの声は、アブラゼミがほとんど。クマゼミは珍しいセミでした。クマゼミは『土地の都市化に強い』性質があるといわれています。全国的な都市化の進行が、クマゼミの北上に影響しているのかもしれません」(長谷川さん)
実際の日本のセミの分布と今回のアンケート結果は、ほぼ一致しているといえます。西日本はクマゼミの『シャシャシャ』、東日本はミンミンゼミの『ミーンミンミン』、日本海側のアブラゼミの『ジリジリジリ』はそれぞれ、地域を代表するセミの鳴き声です」(長谷川さん)
ただし、「意外」と感じられた結果もあったそうです。
「クマゼミが多いはずの鹿児島県やミンミンゼミの勢力圏であるはずの茨城県の結果は意外でした。鹿児島県の場合は、アブラゼミが優勢というアンケート結果ですが、一般的にクマゼミは日の出頃から午前9時頃にもっとも活動的に鳴くので、アンケートに回答した時間帯も影響したかもしれません」(長谷川さん)
近年、日本のセミの勢力分布図が変化しています。とくに「クマゼミの北上」が目立つ傾向のひとつだそうです。
「かつて、クマゼミが非常に多く生息するのは、瀬戸内海沿岸周辺で、東海地方では少ないセミでした。ところが、今回のアンケート結果でもわかるように、クマゼミの鳴き声が1番多く聞こえたという範囲は静岡県あたりまで、東へ広がっています。
私自身の経験でも、50年ほど前の愛知県名古屋市内で聞こえたセミの声は、アブラゼミがほとんど。クマゼミは珍しいセミでした。クマゼミは『土地の都市化に強い』性質があるといわれています。全国的な都市化の進行が、クマゼミの北上に影響しているのかもしれません」(長谷川さん)
西日本では「涼しげ」とされるミンミンゼミの鳴き声
セミの鳴き声に対する印象の違いも、地域によってあるようです。
「東京の人にとってミンミンゼミの鳴き声は『暑苦しさの象徴』でしょう。しかし、西日本ではそれをむしろ『涼しげ』と感じることが多いようです。『シャシャシャ』と暑苦しく鳴くクマゼミとの対比によるものでしょう。
また、東京の都市部に多く生息しているミンミンゼミですが、実は暑さが苦手で、涼しい場所を好みます。愛知県あたりでも、姿が目立つのは涼しい山の中です。
ミンミンゼミには『斜面が好き』という特徴があります。これは、ミンミンゼミの幼虫が乾燥気味の土壌を好むことによるもので、斜面は一般に日当たりがいいためです」(長谷川さん)
新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛、夏休みの短縮化などでセミの観察にはふさわしくない結果に終わりそうな今年の夏ですが、これから、さらに来年以降、どんなふうに楽しめばいいのでしょうか。
「外に出なくても自宅から聞こえる範囲で毎日、セミが鳴き始めた時間、そのときの気温や天気などを合わせて記録することは可能です。そこに何らかの相関関係が認められるかもしれません。今年、鳴き声が聞こえなくなった日も、記録しておきましょう。
来年以降は、どの種類のセミが何月何日に鳴き始めたか、鳴かなくなったかを継続的に、長いスパンで記録してみるのもいいでしょう」(長谷川さん)
まだまだ暑い日々が続きます。それまでの間、地域ごとに異なるセミの声を地元ならではの風物詩ととらえ、情緒豊かなものと感じてみるのはいかがですか。
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「東京の人にとってミンミンゼミの鳴き声は『暑苦しさの象徴』でしょう。しかし、西日本ではそれをむしろ『涼しげ』と感じることが多いようです。『シャシャシャ』と暑苦しく鳴くクマゼミとの対比によるものでしょう。
また、東京の都市部に多く生息しているミンミンゼミですが、実は暑さが苦手で、涼しい場所を好みます。愛知県あたりでも、姿が目立つのは涼しい山の中です。
ミンミンゼミには『斜面が好き』という特徴があります。これは、ミンミンゼミの幼虫が乾燥気味の土壌を好むことによるもので、斜面は一般に日当たりがいいためです」(長谷川さん)
新型コロナウイルス感染予防のための外出自粛、夏休みの短縮化などでセミの観察にはふさわしくない結果に終わりそうな今年の夏ですが、これから、さらに来年以降、どんなふうに楽しめばいいのでしょうか。
「外に出なくても自宅から聞こえる範囲で毎日、セミが鳴き始めた時間、そのときの気温や天気などを合わせて記録することは可能です。そこに何らかの相関関係が認められるかもしれません。今年、鳴き声が聞こえなくなった日も、記録しておきましょう。
来年以降は、どの種類のセミが何月何日に鳴き始めたか、鳴かなくなったかを継続的に、長いスパンで記録してみるのもいいでしょう」(長谷川さん)
まだまだ暑い日々が続きます。それまでの間、地域ごとに異なるセミの声を地元ならではの風物詩ととらえ、情緒豊かなものと感じてみるのはいかがですか。
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