去年より暑いのに搬送者数減
東京都の気温のデータを加えて比較してみると、去年は梅雨明け発表の翌週である7月27日~8月2日に、最高気温の平均が33.7℃まで上昇し、搬送者数が1458人と増加しました。今年は同じ梅雨明け翌週の8月3日~9日の最高気温の平均が33.6℃とほぼ同じでしたが、搬送者数は668人に留まっています。
週間の最高気温平均のピークでも比較してみましょう。去年の最高気温平均のピークは34.9℃(8月3日〜9日)で、搬送者数が1717人だったのに対し、今年は35.7℃(8月10日~16日)で搬送者数1574人(速報値)でした。確定値と速報値の差があるものの、去年よりも気温が高い環境にも関わらず、今年は熱中症搬送者数が少なかったのです。
週間の最高気温平均のピークでも比較してみましょう。去年の最高気温平均のピークは34.9℃(8月3日〜9日)で、搬送者数が1717人だったのに対し、今年は35.7℃(8月10日~16日)で搬送者数1574人(速報値)でした。確定値と速報値の差があるものの、去年よりも気温が高い環境にも関わらず、今年は熱中症搬送者数が少なかったのです。
搬送者数が去年よりも少ない理由について、横浜相原病院(横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長は「今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言以降、外出を控える人が多く、それが救急搬送数の減少に現れているのでしょう」と話しています。
長い梅雨と外出自粛で重症化しやすい環境に
搬送者数が少なかった一方で、熱中症で亡くなる人が増えています。東京都では8月24日までに170人が熱中症で亡くなり、すでに昨年1年間の死者135人を上回っているのです。また、170人のうち161人が屋内で亡くなっています。
「外出自粛が搬送者数の減少につながった一方で、外に出る機会が少なく、体が暑さに慣れないまま夏を迎えた人が多かったと思われます。また、今年は全国的に梅雨が長引き、梅雨明け直後に猛暑が到来しました。
体が暑さに慣れていないと、熱中症は急速に症状が進行し重症化しやすくなりますので、急激な気温上昇に体が適応できなかったことが、死者数増加につながった要因のひとつと考えられます」(吉田先生)
「外出自粛が搬送者数の減少につながった一方で、外に出る機会が少なく、体が暑さに慣れないまま夏を迎えた人が多かったと思われます。また、今年は全国的に梅雨が長引き、梅雨明け直後に猛暑が到来しました。
体が暑さに慣れていないと、熱中症は急速に症状が進行し重症化しやすくなりますので、急激な気温上昇に体が適応できなかったことが、死者数増加につながった要因のひとつと考えられます」(吉田先生)
引き続き熱中症に警戒を
厳しい暑さの時は無理な外出を控え、温度管理を行っている室内で過ごすことは熱中症対策として有用です。ただし、温度管理を十分にしない場合は室内でも熱中症になる危険性はありますので、注意が必要です。
「浴室や洗面所、家の最上階などの熱気や湿気がこもりやすい場所で長時間を過ごす場合は要注意です。部屋の風通しをよくしたり、エアコンや扇風機を上手に利用するなどして、温度管理に気をつけましょう。
また、子どもや高齢者は熱中症になっても自覚しにくいので重症化しやすいと言われます。気付かない内に脱水していることもあるので、喉が渇いたと感じていなくても、こまめに水分補給をすることを心がけましょう」(吉田先生)
今年はいつもと違う夏。体が夏の暑さに慣れず、しかも猛烈な残暑がまだ続きそうです。引き続き、熱中症に警戒が必要です。
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「浴室や洗面所、家の最上階などの熱気や湿気がこもりやすい場所で長時間を過ごす場合は要注意です。部屋の風通しをよくしたり、エアコンや扇風機を上手に利用するなどして、温度管理に気をつけましょう。
また、子どもや高齢者は熱中症になっても自覚しにくいので重症化しやすいと言われます。気付かない内に脱水していることもあるので、喉が渇いたと感じていなくても、こまめに水分補給をすることを心がけましょう」(吉田先生)
今年はいつもと違う夏。体が夏の暑さに慣れず、しかも猛烈な残暑がまだ続きそうです。引き続き、熱中症に警戒が必要です。
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