英語では“shade”か“shadow”か
答えは「日陰」ですね。カンタン!と思った人がいる一方、迷った人も多いのでは!? ちなみに、日陰の対義語は「日向(日なた)」です。
この「陰」と「影」、語源は同じながらも、かなり異なる意味も併せ持っています。
英語でいえば、「陰」は“shade”、「影」は“shadow”です。英語も「陰」と「影」を使い分けています。
日陰の恋しいこの時季にちなんで、「かげ」について見ていきましょう。
この「陰」と「影」、語源は同じながらも、かなり異なる意味も併せ持っています。
英語でいえば、「陰」は“shade”、「影」は“shadow”です。英語も「陰」と「影」を使い分けています。
日陰の恋しいこの時季にちなんで、「かげ」について見ていきましょう。
「陰」は「場所」と関係が深い
「陰」と「影」には、幾つかの違いがあります。「陰」の主な使い方の一つに、「場所」を示すことが挙げられます。
「物にさえぎられて、光線の当たらないところや目につきにくいところ」
「目の届かないところ。その人のいないところ」
……これらはいずれも「陰」の意味で、「ところ」つまり「場所」を表しています。
「木陰(こかげ)」は「物(木)にさえぎられて、光線の当たらないところ」ですし、「陰で支える」「陰で悪口を言う」の「陰」は「目の届かないところ。その人のいないところ」であることがわかるでしょう。
「物にさえぎられて、光線の当たらないところや目につきにくいところ」
「目の届かないところ。その人のいないところ」
……これらはいずれも「陰」の意味で、「ところ」つまり「場所」を表しています。
「木陰(こかげ)」は「物(木)にさえぎられて、光線の当たらないところ」ですし、「陰で支える」「陰で悪口を言う」の「陰」は「目の届かないところ。その人のいないところ」であることがわかるでしょう。
「影」は「形」と関係が深い
一方の「影」は主に、「場所」ではなく「形」を意味しています。
「物体が光をさえぎったとき、光と反対側にできる黒い形」
「光が反射して、水面などに映る物の形」
……これらはいずれも「影」の意味で、「形」を表しています。
「子供たちが校庭で、友達のカゲを踏んで遊んでいる」の「カゲ」は「影」ですね。「池に映る山のカゲ」も「影」で、「光が反射して、水面などに映る物の形」の一つといえます。
「物体が光をさえぎったとき、光と反対側にできる黒い形」
「光が反射して、水面などに映る物の形」
……これらはいずれも「影」の意味で、「形」を表しています。
「子供たちが校庭で、友達のカゲを踏んで遊んでいる」の「カゲ」は「影」ですね。「池に映る山のカゲ」も「影」で、「光が反射して、水面などに映る物の形」の一つといえます。
NHK朝ドラの主題歌『星影のエール』の「星影」とは?
同語源で、似たような意味を持つ「陰」と「影」ですが、反対の意味もあることを知っているでしょうか。
意外に思うかもしれませんが、「影」には「光」の意味もあるのです。「日・月・星などの光」の意味です。ですから「月の影」と書けば、「月の光」(あるいは「月の姿」など)のことです。
千昌夫さんが歌ってヒットした『星影のワルツ』(作詞/白鳥省吾=しろとりせいご、作曲/遠藤実=えんどうみのる)の「星影」や、GReeeeN(グリーン)の歌で、NHK連続テレビ小説『エール』の主題歌『星影のエール』の「星影」も、「星の光、星明かり」といった意味でしょう。
一方、「陰」に光の意味は通常ありません。
意外に思うかもしれませんが、「影」には「光」の意味もあるのです。「日・月・星などの光」の意味です。ですから「月の影」と書けば、「月の光」(あるいは「月の姿」など)のことです。
千昌夫さんが歌ってヒットした『星影のワルツ』(作詞/白鳥省吾=しろとりせいご、作曲/遠藤実=えんどうみのる)の「星影」や、GReeeeN(グリーン)の歌で、NHK連続テレビ小説『エール』の主題歌『星影のエール』の「星影」も、「星の光、星明かり」といった意味でしょう。
一方、「陰」に光の意味は通常ありません。
「日影が強いから、日陰に入ろう」って、どういうこと?
と、ここで、「ヒカゲ」について改めて見てみると、「日影」は「日の光。日ざし」のことです。この「影」は「光」のことなのですね。
ですから「夏の日影」と書けば、「夏の日ざし」になります。「日陰」とはまったく違う意味ですね。
「入(り)日影(いりひかげ)」という言葉もあって、これは「夕日の光」のことで、太陽が沈んでいくときの光です。
「日陰」と「日影」の意味の違いを知っているからといって、「日影が強いね。日陰に入ろうよ」などと言ってみても、相手には通じない可能性があります。そこは普通に「日ざしが強いね。日陰に入ろうよ」と言ったほうがよいでしょうね。
影の薄い存在になることなく、かといって、陰で糸を引くようなこともせず、お陰さまの心持ちで、日影や月影(つきかげ)、星影のもとを朗らかに歩んでいきたいものです。
>>ウェザーニュース記事一覧
ですから「夏の日影」と書けば、「夏の日ざし」になります。「日陰」とはまったく違う意味ですね。
「入(り)日影(いりひかげ)」という言葉もあって、これは「夕日の光」のことで、太陽が沈んでいくときの光です。
「日陰」と「日影」の意味の違いを知っているからといって、「日影が強いね。日陰に入ろうよ」などと言ってみても、相手には通じない可能性があります。そこは普通に「日ざしが強いね。日陰に入ろうよ」と言ったほうがよいでしょうね。
影の薄い存在になることなく、かといって、陰で糸を引くようなこともせず、お陰さまの心持ちで、日影や月影(つきかげ)、星影のもとを朗らかに歩んでいきたいものです。
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参考資料など
『大辞泉』(小学館)、『明鏡国語辞典』(大修館書店)、毎日新聞 コトバ解説(https://mainichi.jp/articles/20141106/mul/00m/100/00800sc)