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週刊地震情報 2020.8.2
7月30日(木)鳥島近海の地震で緊急地震速報も揺れはなし

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2020/08/02 11:23 ウェザーニュース

この1週間で、国内で観測された地震回数は前週に比べてやや多くなりました。震度3以上の地震は2回発生。北海道から沖縄にかけての広範囲で震度1以上の地震が観測されています。(7月27日~8月2日10時の集計)

国内:30日(木)に緊急地震速報発表も震度1以上なし

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30日(木)の緊急地震速報の推定の震源と実際の震源
7月30日(木)9時36分頃に鳥島近海を震源とするマグニチュード5.8の地震が発生しました。この地震で関東など広範囲に緊急地震速報が発表されましたが、震度1以上の揺れは観測されていません。気象庁は緊急地震速報処理において本来の震源とは異なり、 房総半島南方沖に震源を決定し、マグニチュードを7.3と過大に推定したためとしています。

緊急地震速報(警報)を発表したにも関わらず、震度1以上の揺れを観測しなかったのは、2013年8月8日に和歌山県北部で発生した地震以来です。このときは海底地震計のノイズが大きな要因となりました。

2007年の緊急地震速報の運用を開始してから、東日本大震災を経るなどして、改善が進められています。即座に情報を発表をしなければならない特性上、今回ほどではないにしろ過大な情報となるケースは考えられます。それでも緊急地震速報が発表された時は最悪の事態を想定して身の安全を守る行動をとることが重要です。
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国内:和歌山県南部で最大震度3

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和歌山県南部の地震
8月1日(土)12時15分頃に和歌山県南部を震源とするマグニチュード4.2、深さ約50kmと推定される地震が発生しました。この地震で和歌山県田辺市と白浜町で最大震度3、大阪府堺市や三重県尾鷲市などで震度2を観測しています。和歌山県南部を震源とする震度3以上の地震は、2016年11月以来のことです。

和歌山県南部には知られている活断層こそないものの、マグニチュード5~6クラスの地震が発生しています。1950年にはマグニチュード6.5の地震があり、少し離れた京都市で震度4を観測した記録があります。

和歌山県はこうした内陸部での地震だけでなく、紀伊水道を震源とする地震や南海トラフ巨大地震の影響も受けやすく、日頃からの対策が欠かせません。

世界:アラスカ沖でM6.1 7月22日のM7.8と関連か

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世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は3回発生しています。最も大きなものは2日(日)にフィリピンのミンダナオ島付近で発生したマグニチュード6.4の深発地震です。

7月28日(火)にはアラスカ沖でマグニチュード6.1の地震が発生しました。22日(水)に発生したマグニチュード7.8の震源の少し西側の領域です。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と同じですが、余震域からは少し離れています。必ずしも余震とは言えないものの、同じプレートの沈み込み領域で発生した地震と考えられます。

今回は地震の規模がマグニチュード6台の前半とそれほど大きくなかったため、津波の発生はありませんでした。

参考資料など

※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

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