こちらは、2020年2月、4月、6月における中国全土の空気のキレイ度（CII）の様子で、値が高いほど空気がキレイであることを表しています。CIIとはオゾンやPM2.5などの大気汚染物質の少なさを表す指数で、NICT-情報通信研究機構による計算式をもとにウェザーニュースが独自で算出したものです。

空気のキレイ度を月別に見てみると、新型コロナウイルスの流行中の2月はキレイ度が高く、収束に近づく4月はキレイ度が低下したものの、6月になると再びキレイ度がやや回復しており、月によって大きく変化していることが分かります。

次に、2020年と2019年の中国全土における平均値の推移をグラフで見ていきます。

空気のキレイ度は地上付近のオゾンの量に依存していて、例年の北半球では４〜5月に年間でもっともキレイ度が悪化し、6月から回復する傾向が見られます。

2020年も同じ傾向は出ているものの、2019年と比べると2月3月の空気は特にキレイだったことが分かりました。
（大気汚染の少なさを表す指標のグラフは、中国武漢市で都市封鎖が実施された1月23日の前と後で分析）

空気のキレイ度が高かった、1月下旬から3月にかけては、PM2.5、PM10、NO2(二酸化窒素)が減少していました。これらは、黄砂や自動車、工場から排出される物質で、経済活動の縮小が関係していると推察されます。

一方、空気キレイ度が悪化していた4月以降はオゾンやPM10が増加していました。こちらは地上付近のオゾンの季節変動や黄砂など自然現象が影響していると考えられます。

ウェザーニュースは、今後も黄砂や空気のキレイ度(CII)の観測など、大気環境の監視にも注力し、継続的に情報提供してまいります。

詳しい物質毎の値を分析した結果〜

・O3(地上付近のオゾン量)
1月以降6月にかけて増加傾向です。
これは前述の通り、例年北半球で見られる傾向と一致しており、中国全土の空気キレイ度に大きく関係しています。

・PM10(主に黄砂)
PM10は、主に黄砂などの巻き上げや、石炭など化石燃料の燃焼時に増加します。1月が多いのは、暖房需要が大きく影響していると考えられます。
2月にかけては減少するものの、3月から4月はやや増加し、5月以降は減少しています。これは中国国内の黄砂の巻き上げと同様の変化傾向といえます。

・PM2.5、NO2(二酸化窒素)
1月から3月にかけて、空気中に浮遊するPM2.5、NO2(二酸化窒素)は減少傾向となっていました。
特に、1月23日からの武漢市におけるロックダウン（都市封鎖）処置後の減少幅が大きくなっています。
ただ、4月になるとやや増加傾向に転じています。
PM2.5、NO2は、経済活動や暖房需要による石炭燃焼、工場などから発生する物質であることから、経済活動の縮小が関係していることが伺えます。
1月に比べると物質量が少ないのは、寒い冬から春へと季節が代わり暖房需要が減少している点が考えられます。


上記のことから、1月〜3月は経済活動の縮小などで空気のキレイ度が上昇したものの、4月以降は地上付近のオゾンや黄砂の影響で空気キレイ度が悪化したと推察されます。

ウェザーニュースは、今後も黄砂や空気のキレイ度(CII)の観測など、大気環境の監視にも注力し、継続的に情報提供してまいります。

1月は、PM2.5、PM10、NO2の影響で空気が汚くなっています。これは通常通りの経済活動が行われ、暖房需要による石炭燃焼が大きな要因と見られます。

2月、3月の空気は、1月に比べてキレイになっています。地上付近のオゾン以外の物質が減少していることから、経済活動の縮小が影響していると見られます。
新型コロナ感染拡大を受け、1月23日からの武漢市におけるロックダウン（都市封鎖）処置をはじめ、北京や上海などその他の地域でも外出制限などが行われており、その時期としても合致しています。

4月、5月は、空気のキレイ度が悪化しています。
黄砂によるPM10や季節的なオゾン量によりO3が増加に加えて、NO2も増加していることから、武漢市とその周辺都市のロックダウン解除に合わせて経済活動が元に戻ってきていたことが分かります。

6月に入ると、やや空気がキレイになっています。オゾン量によるO3や経済活動によるNO2に大きな変化はないものの、PM10が減っていることから、黄砂の巻き上げや飛散が減少したため考えられます。

中国全土の空気のキレイ度は、黄や地上付近のオゾン、そして経済活動の変化により、1月〜3月は空気はキレイ度は高い状態だったものの、4月以降は空気のキレイ度が悪化していたことが分かりました。

ウェザーニュースは、今後も黄砂や空気のキレイ度(CII)の観測など、大気環境の監視にも注力し、継続的に情報提供してまいります。

※本データは、NICT(情報通信研究機構)によるPMやオゾンなど複数の大気汚染物質を元にした「キレイな空気指数(CII)」に、ウェザーニュースが独自のデータを加えて算出したものです。

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