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鯛の中に鯛がいる? その正体とは

2020/04/25 08:38 ウェザーニュース

旬の最終盤を迎えた真鯛。暖かくなるにつれ、白くて透き通るような涼しげな刺身は、いっそうおいしそうに見えます。

この真鯛には「鯛の鯛」と呼ばれる部位が存在するというのです。詳しい話を船橋地方卸売市場の株式会社山末、内海貴久さんに伺いました。

鯛の鯛は自然が生んだ縁起もの

「鯛の鯛」の正体は鯛の骨の一部
「『鯛の鯛』とは、鯛の胸びれとえらの間付近にある骨のことをいいます。実は、この骨は鯛だけでなく、硬骨魚(骨の硬い魚、鮫やエイなどを除く魚が属する)ならどの魚、たとえばイワシやアジにもあります」(内海さん)

「この骨は肩甲骨(けんこうこつ)と烏口骨(うこうこつ)がつながった状態のもので、胸びれを動かすときに使う骨です。江戸時代には『鯛中鯛』(たいちゅうのたい)と呼ばれて、めでたい鯛の中にある鯛ということで、縁起ものや、お守りとして珍重されたそうです。今でも仲間うちでは財布に入れている人がいます」(内海さん)

鯛でなくても『鯛の鯛』

真鯛だけでなく、硬骨魚すべてにある骨も『鯛の鯛』と呼ぶそうです。

「『鯛の鯛』という呼び名は、形そのものが鯛に似ていること、真鯛の『鯛の鯛』は最も形が美しいとされていることから、この名前が付いたという説があります。鯛以外の硬骨魚にもこの骨はありますが、『鯛の鯛』と呼んでいます。たとえばアジから出たからといって『アジの鯛』とはいいません。

魚の種類によって『鯛の鯛』はそれぞれ形が違うので、取り出してみると面白いですよ。特に胸びれをよく動かす魚は烏口骨が発達しているので、結構立派なものが見つかります」(内海さん)

鯛の鯛を取り出すには

たとえば、お子さんと一緒に「鯛の鯛」を取り出してみたいと思った場合はどうすればうまく取れるのでしょうか。

「『鯛の鯛』は硬骨魚なら見つけられますが、もちろん真鯛がおすすめです。真鯛のかぶと煮を食べる機会があればベストです。家庭で調理するなら、魚は煮てください。『鯛の鯛』は焼き魚より煮魚の方が取り出しやすいです」(内海さん)

おうちごはんのメニューを考える時、お子さんと一緒に魚の図鑑などを見ながら、どの魚がどんな『鯛の鯛』なのか、想像しながら選んでみるのも楽しいのではないでしょうか。
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