暖冬の年、暖地のサクラの開花が遅れたり、満開にならなかった
今年は東京で3月14日にサクラ(ソメイヨシノ)が開花するなど多くの地域でサクラの開花日が早まりましたが、鹿児島(4月1日)など暖地では逆に開花が遅れました。また、開花しても満開にならない地域も出てきています。
八丈島でも4月8日にようやく開花しましたが、満開は危ぶまれています。沖縄ではサクラ(ヒカンザクラ)が観測されている4地点のうち3地点(石垣島、宮古島、南大東島)で満開には至りませんでした。サクラの満開とは8割以上の花がいっせいに開花した状態をいいますが、だらだらと咲くと満開にならないのです。
サクラの花芽の成長には3〜10℃前後の低温による休眠打破が必要ですが、暖冬だと暖地では休眠打破が行われず、かえって成長が遅れたのです。
福岡市科学館館長の伊藤久徳さんが語ります。「私が九州大学大学院教授(気象学)だった11年前、地球温暖化が進むとサクラの開花日がどう変化するのか、ある温暖化シナリオのもとで、2100年までの様子をコンピュータ上で再現してみました」
八丈島でも4月8日にようやく開花しましたが、満開は危ぶまれています。沖縄ではサクラ(ヒカンザクラ)が観測されている4地点のうち3地点(石垣島、宮古島、南大東島)で満開には至りませんでした。サクラの満開とは8割以上の花がいっせいに開花した状態をいいますが、だらだらと咲くと満開にならないのです。
サクラの花芽の成長には3〜10℃前後の低温による休眠打破が必要ですが、暖冬だと暖地では休眠打破が行われず、かえって成長が遅れたのです。
福岡市科学館館長の伊藤久徳さんが語ります。「私が九州大学大学院教授(気象学)だった11年前、地球温暖化が進むとサクラの開花日がどう変化するのか、ある温暖化シナリオのもとで、2100年までの様子をコンピュータ上で再現してみました」
南東北〜九州北部がいっせいに開花
「結果の一部を紹介します。下図は2082〜2100年の19年間の平均した開花予想日が、最近の開花日(1982〜2000年の平均)とどれだけ変化するかを示したものです。傾向として、東北地方で開花が今より2〜3週間早まる一方、九州など温暖な地域は逆に1〜2週間遅くなるのです」(伊藤さん)
さらに下図は開花日の日付です。4月になると南東北から九州北部がいっせいに開花することになりそうです。
サクラが開花しない地域も出現
シミュレーションでは開花日が変動するだけでなく、サクラが開花しない地域もありました。
「種子島や鹿児島の西部では全く開花せず、九州南部、四国南西部、長崎県や静岡県の一部は開花しても満開にならないというシミュレーション結果でした」と言う伊藤さんは、今年の暖冬は温暖化シナリオでいう2082〜2100年の状況に似ていると言います。
「種子島や鹿児島の西部では全く開花せず、九州南部、四国南西部、長崎県や静岡県の一部は開花しても満開にならないというシミュレーション結果でした」と言う伊藤さんは、今年の暖冬は温暖化シナリオでいう2082〜2100年の状況に似ていると言います。
「今年の1月は、平年値より東日本で2.7℃、西日本で2.8℃高かったので、サクラの開花でも2082-2100年の平均と似通った状況が発現したと考えています。鹿児島(4月1日開花)より仙台(3月28日開花)が早く開花することも似ています。今年は記録的な暖冬だったので、2082-2100年の平均的な状況が現れ、桜の咲き方にもそれが現れたと解釈できます」(伊藤さん)
地球温暖化の影響は、サクラの開花にとどまりません。「IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)でも繰り返し述べていますが、気温の上昇以外でも、海面上昇、豪雨の頻発、干ばつの増加、感染症の増加、健康被害の増加、台風の強化、永久凍土の融解、海洋の酸性化、生態系の変化・多数の生物絶滅などです。食料不足や飢餓なども問題になります」(伊藤さん)
温暖化はサクラにとっても厳しい環境になりそうです。70〜80年後のシミュレーションですが、今冬の暖冬をみていると、より早いスピードでサクラを取り巻く風景も変わっていくかもしれません。
地球温暖化の影響は、サクラの開花にとどまりません。「IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)でも繰り返し述べていますが、気温の上昇以外でも、海面上昇、豪雨の頻発、干ばつの増加、感染症の増加、健康被害の増加、台風の強化、永久凍土の融解、海洋の酸性化、生態系の変化・多数の生物絶滅などです。食料不足や飢餓なども問題になります」(伊藤さん)
温暖化はサクラにとっても厳しい環境になりそうです。70〜80年後のシミュレーションですが、今冬の暖冬をみていると、より早いスピードでサクラを取り巻く風景も変わっていくかもしれません。