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ランドセルの起源は? 全国に普及したのは1960年代以降

2020/03/30 10:51 ウェザーニュース

入学シーズンの春は、小学1年生の背中で揺れるピカピカのランドセルが目につきますよね。このランドセルの起源は意外なものでした。そして全国に普及したのは、戦後の日本が高度経済成長期を迎えた1960年代以降だったというのです。

「ランドセル」はオランダ語のなまり

江戸時代の末期に幕府が軍隊(陸軍)を導入する際、オランダからもらった背嚢(はいのう=バックパック)を装備品としました。これがオランダ語で「ランセル」といい、それがなまって「ランドセル」と呼ばれるようになりました。つまり、ランドセルの起源は陸軍の背嚢だったのです。

明治時代になっても、尉官以下の将兵は革製の背嚢が支給されました。この背嚢を通学鞄に最初に採用したのは学習院初等科で、1885年のことでした。当時はリュックサックのような形でしたが、その後デザインが改良されて現在の形になっていきました。

ちなみに、黒の詰襟学生服は陸軍、紺色の蛇腹ホック式の制服は海軍士官の制服をもとにしています。女子のセーラー服も海軍兵士の制服ですから、ランドセルにしても制服にしても学校は軍隊ルーツのものが多いということになります。

全国に普及したのは1960年以降

創業が101年というランドセルメーカー大手のセイバン(本社・兵庫県たつの市)が、ランドセルを手がけたのは1946年でした。

「戦前はランドセルが贅沢な高級品だったため、都市部の富裕層の児童が使っていました。地方や一般庶民の児童は、主に風呂敷や布製のショルダーバックを使っていたそうです」と言うのは、同社ランドセル事業部販売促進グループの日高洋さんです。

ランドセルの製造を始めたものの、当初は物資の入手が難しく、布製だったり、豚皮だったり、サメやアザラシなどの皮が使われていたそうです。牛革製のランドセルが全国に普及したのは、高度経済成長期に入った1960年以降のことです。

そのランドセルは今や「クールジャパン」の一端として海外でも人気になっています。

「当社は世界中の子どもたちにランドセル文化を広めていこうと、各国の教育への姿勢や習慣、好まれるデザインに合わせたランドセルを提供しています。世界中の子どもたちを笑顔にしたいと考えています」(日高さん)

日本で生まれて愛されたランドセルは、いまや世界に羽ばたこうとしているのです。
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