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春はカラスのゴミ荒らしに注意 被害を防止するには?

2020/03/27 06:10 ウェザーニュース

春は人間も含めて、さまざまな動物が活発に動き出す時季です。カラスもそのひとつ。ゴミ収集場に集まってくるカラスの数は、3月は2月の6倍、ピークの4月はさらに3月の3倍にものぼっているという調査結果もあります。

また、ウェザーニュースでアンケート調査を行ったところ、62%の人がカラスにゴミを荒らされた経験があると回答しています(2020年3月16〜17日実施、7878人回答)。回答者からは「ネットを掛けていても荒らされることがあります」「ゴミの上に被せたブルーシートも黄色のネットも意味無い感じです」「ゴミに出した未開封の焼きそばの麺にカラスが集まり道路に散らかった」といったコメントも。

街を汚し、衛生面でも悪影響を与えるカラスのゴミ荒らしの予防には、どのような対策を取れば効果があるのでしょうか。

引っ越しや新住民が増える3~4月に被害が突出

日本野鳥の会神奈川支部の会員による「食い散らかされたゴミ収集場の数とゴミ収集場に集まったカラスの個体数の季節変化」調査によると、ある調査地点で2014年2月に確認されたカラスは1羽。ところが3月には6羽となり、4月には一気に17羽まで激増しました。5月には6羽に減り、6・7月には1羽もいなくなりました。

被害を受けたゴミ収集場の数も、個体数とほぼ同様の結果となっています。また、曜日別にみると、カラスの数が最も多かったのは可燃ゴミの収集日である火・土曜日が、突出していました。

カラスの活動が春に活発化する理由は、繁殖時期の排他行動が影響しているなどの見方もありますが、明確にはわかっていません。むしろ、人間側の行いが大きな原因になっている可能性が高いとみられています。

3月から4月にかけては転勤や進学などによる引っ越しが多く、必然的にゴミの量がほかの時季より増える傾向にあります。さらに、新しく引っ越してきた人たちはその地域のゴミ収集日をきちんと把握しておらず、次の回収日までの数日間に放置されたゴミを狙って、カラスが頻繁に飛来してくるようになるのです。

カラス対策とゴミ出しの方法

各地方行政でもカラスによるゴミ荒らしの対策を強めています。たとえば兵庫県尼崎市では、上記の5つの方法を呼びかけています。

まず、第一にカラスの餌となる生ゴミや残飯の量を減らすことです。必要以上の量は買わない、料理は作りすぎず食べ残さない、生ゴミは袋に捨てる前によく水切りをするなどです。また、生ゴミをたい肥化することも減少に大きく役立ちます。

ゴミを出す指定の曜日、時間を守ることも重要です。カラスは「早起き」だといいます。前日の夜のうちにゴミを出すと、食い荒らされる可能性が非常に高くなります。地元の市町村が定めた時間の直前に出すことを、徹底しましょう。

ゴミ袋を防鳥ネットでおおうことも、効果的な方法です。はみ出さないようにきちんとネットを被せ、風で飛ばされないように重りなどで固定しましょう。

カラスによる食い散らかしの防止は、地域全体でカラスが集まりにくいようにするしかありません。そのためには私たち一人ひとりの心がけが、大切になってきます。

参考資料など

齋藤仁志. 2014. カラスによるゴミの食い荒しの季節変動と曜日変動. BINOS vol.21(2014):1-6