全国に427基の避難タワー
東日本大震災までに設置された「津波避難タワー」は45基でしたが、大震災後は各地に続々建設されました。内閣府の調べによると、大震災から7年余りの2018年8月時点で全国に427基の避難タワーがあります。
都道府県別に見ると、最多が静岡県の129基、次いで高知県の110基、3番目が宮城県の32基です。南海トラフ巨大地震が発生したら短時間で大津波の到達が想定されている静岡県と高知県が避難タワーの建設に積極的なことがわかります。
多用途の「津波避難タワー」も
避難タワーの基本は、最大津波高より高い床面を持つ鉄骨造りで、立体駐車場に似た構造です。公民館などの施設に避難する時間がない人が緊急に退避し、津波の恐れがなくなったら公民館などの避難所に移動することを想定しています。
多用途の避難タワーも少なくありません。避難タワーに防災倉庫を設置して非常食を備蓄(和歌山県串本町)、幹線道路の上に設置して平常時は横断歩道橋として使う(静岡県吉田町)、避難タワーに防災資料館を併設(三重県大紀町)、数日間滞在できるように外壁で囲った屋内スペースがある(宮城県仙台市)などです。
多用途の避難タワーも少なくありません。避難タワーに防災倉庫を設置して非常食を備蓄(和歌山県串本町)、幹線道路の上に設置して平常時は横断歩道橋として使う(静岡県吉田町)、避難タワーに防災資料館を併設(三重県大紀町)、数日間滞在できるように外壁で囲った屋内スペースがある(宮城県仙台市)などです。
日本最大級の「津波避難タワー」
南海トラフ巨大地震で最大津波高34.4mが想定されている高知県黒潮町には6基の避難タワーがあります。なかでも2016年に建設された佐賀地区の避難タワーは、避難フロアの高さ22m、収容人数230人で日本最大級とされます。
「黒潮町の最大津波高は34.4mですが、佐賀地区の最大津波高は18mと想定されているので十分な高さの避難タワーです。周辺の住民は10分以内に避難フロアに登れるようよう年に1回の避難訓練を行っています」(黒潮町役場)
最上階の避難フロアは居住スペースになっていて、備蓄倉庫には水や食料、毛布も用意されているので数日は持ちこたえられるといいます。
「以前は『避難しても助からない』と考える避難放棄者もいたのですが、佐賀地区の避難タワーができてからは、地域に協議会が組織され、防災意識が高まりました」(黒潮町役場)
目の前にそびえる「津波避難タワー」は、近くに高台がない住民にとって命の塔になっているのです。
「黒潮町の最大津波高は34.4mですが、佐賀地区の最大津波高は18mと想定されているので十分な高さの避難タワーです。周辺の住民は10分以内に避難フロアに登れるようよう年に1回の避難訓練を行っています」(黒潮町役場)
最上階の避難フロアは居住スペースになっていて、備蓄倉庫には水や食料、毛布も用意されているので数日は持ちこたえられるといいます。
「以前は『避難しても助からない』と考える避難放棄者もいたのですが、佐賀地区の避難タワーができてからは、地域に協議会が組織され、防災意識が高まりました」(黒潮町役場)
目の前にそびえる「津波避難タワー」は、近くに高台がない住民にとって命の塔になっているのです。
参考資料など
「津波避難タワー・ビルへの避難意向特性に関する研究」(金井昌信ら、2017年〈http://www.katada-lab.jp/doc/p142.pdf〉)、「津波避難ビル及び津波避難タワーの整備数(平成30年8月時点)」(http://www.bousai.go.jp/jishin/tsunami/hinan/pdf/3008sankou1.pdf)