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東日本大震災から9年 依然、大規模余震のリスクも

2020/03/11 11:19 ウェザーニュース

東日本大震災から9年。巨大地震の後には余震が続きますが、「最大余震が今後10年以内に関東地方で発生する可能性があります」と言うのは、元東京大学地震研究所の都司嘉宣(つじよしのぶ)さんです。どのような「最大余震」なのでしょうか。

貞観地震の9年後に発生した最大余震

「東日本大震災は1000年に1度の地震と言われました。三陸沖で同規模の巨大地震は1142年前の貞観11年(869年)に発生した貞観地震です。M8.4の海底地震によって生じた大津波が東北地方太平洋沿岸を襲い、壊滅的な打撃を与えたと記録されています」(都司さん)

歴史地震学が専門の都司さんは、貞観地震の余震と思われる地震を調べたところ、9年後の元慶2年(878年)に関東地方を襲っていました。

「当時の歴史書『日本三大実録』によると、関東地方で大きな地震があり、特に相模国と武蔵国で揺れが激しかったとあります。今の東京都、神奈川県、埼玉県を合わせた範囲です」(都司さん)

震度6強〜7だった元慶の関東地震

貞観地震の最大余震はどれほどの地震だったのでしょうか。

「埼玉県では元慶地震のものと思われる液状化痕跡が見つかっています。相模国分寺(神奈川県海老名市)は仏像が粉々に砕けたと記録されています。そのことから最大震度は6強から7だったと推定されます」(都司さん)

東北北部や関東地方で余震が活発化か

ところで、東日本大震災でひずみが解消されたはずなのに、なぜ余震が続くのでしょうか。

「確かに巨大地震は広い地域のひずみを解消しましたが、地殻が変動したことで逆にひずみが蓄積した地域もあります。筑波大学の八木勇次先生の研究によると、北東北や関東地方で余震が活発化することが示されています。東日本大震災の余震もこの地域で起こっています」(都司さん)

貞観地震の最大余震は9年後に関東地方で発生しました。東日本大震災の9年後といえば今年ですが、「幅をとって今後10年以内に東日本大震災の最大余震が発生する可能性があります」と都司さんは言います。

地震列島の日本では、いつどこで大地震が起こってもおかしくありません。東日本大震災から9年を機に、改めて地震への備えを見直してみませんか。