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花粉症の重症度セルフチェック

2020/03/05 05:39 ウェザーニュース

今年も花粉症の流行シーズンを迎えています。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみなど、花粉症は誰にとってもつらいものですが、その重さ、ひどさや症状は、人によって千差万別です。適切な治療を受けるためには、自分の重症度と症状をきちんと把握しておくことが重要です。
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国の指針では無症状から最重症まで5段階

国は花粉症を含むアレルギー性鼻炎の治療指針として、「鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年版(改定第8版)」を作成しています。

指針では、1日のくしゃみ発作回数、鼻をかむ回数、鼻閉(鼻づまり)の各症状の程度と、くしゃみ、鼻漏型(鼻水)、鼻閉型、充全型(すべての症状が同程度に現れる)の各病型に分類。それによって花粉症を無症状、軽症、中等症、重症、最重症の5段階に設定しています。
指針による各症状の程度として、くしゃみの発作と鼻汁でみると、ともに1日平均で5~1回が「+」、10~6回が「++」、20~11回が「+++」、21回以上が「++++」となります。鼻閉ですと、「口呼吸は全くないが鼻閉あり」が「+」、「鼻閉が強く、口呼吸が1日のうち、ときどきあり」が「++」、「鼻閉が非常に強く、口呼吸が1日のうち、かなりの時間あり」が「+++」、「1日中完全につまっている」が「++++」とされています。
これにより、くしゃみの発作と鼻汁がともに「++++」の場合は最重症、ともに「+++」は重症、ともに「++」は中等症、ともに「+」は軽症などの分類がなされます。どちらかが「++++」の場合は、もう一方がたとえ無症状だったとしても、最重症とみなされます。

早めの医師への相談と、日頃からのセルフケアが重要

厚生労働科学研究が発行している「花粉症の正しい知識と 治療・セルフケア」(大久保公裕・日本医科大学耳鼻咽喉科教授監修)によると、毎年激しい症状がみられる患者には、「初期療法が有効」といいます。

初期療法とは花粉が飛び始めた時季か、症状が少しでも表れた時点で薬物療法を始める治療法で、症状が重症化するのを抑えられます。「ガイドライン」では初期療法として、「第2世代抗ヒスタミン薬」「抗LTs薬」「遊離抑制薬」のいずれかの投与を勧めています。

「抗ヒスタミン薬」はくしゃみや鼻水に効果がありますが、多少の眠気が出るという副作用があります。「抗LTs薬」は鼻閉のほか、鼻水・くしゃみの改善効果もあります。服用を始めてから1週間ほどで効果が現れます。「遊離抑制薬」は点眼薬です。

これらの薬を医師の処方により適切に使い分けることで、患者の5~6割は花粉症の症状がほとんど表れないまま、花粉が飛散する時季を過ごせるといいます。

水や市販の洗浄液で目や鼻を洗うと、症状が緩和されることもありますが、花粉が逆流して体内に戻り、かえって症状の悪化につながる場合もあります。花粉症対策には、とにかく早めに医師に相談することが必要です。

そのうえで、日頃からめがねやマスクの装着、花粉が付着しやすいウールの服は避ける、洗濯物はよくはたくなど、手軽にできる「セルフケア」も心がけましょう。
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参考資料など

「鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年版(改定第8版)」(日内会誌106:1159~1164,2017)、「コメディカルが知っておきたい 花粉症の正しい知識と 治療・セルフケア」(大久保公裕・日本医科大学耳鼻咽喉科助教授監修、厚生労働科学研究発行)