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天気痛予報を作るデータについて

2023/02/13 15:40 ウェザーニュース

ウェザーニュースがこれまでにサポーターと幾度も検証を行った結果「気圧の変化が通常のパターンからずれた時」に天気痛を感じる方が多いことが分かっています。

「気圧」に着目して予想

晴れや雨などの天気の変化だけでなく、気温や湿度のほか気圧なども大きく関係していると言われています。

特に気温・湿度については、「暑い・寒い」、「湿っている・乾燥している」など、日々の体感で変化を感じられますが、気圧の変化についてはなかなか体感で感じることができません。

そこで、今回ウェザーニュースの発表する天気痛予報は、原因となる気象要素の中でも、肌で実感しにくい気圧の変化に着目して天気痛の予測ロジックを組み立てています。

(1)低気圧や台風の接近時、高気圧が離れる時の気圧変化

天気図に表現される低気圧や台風などの現象が通過する時に気圧の変化が大きくなるため、天気痛が発症しやすく注意が必要です。中でも発達した低気圧や台風が通過する際は一日に20hPa以上もの気圧差となります。気圧変化の傾きが大きくなるほど天気痛発症のリスクが高まってきます。

この変化は春や秋などに周期的に低気圧が通過することなどもあり、季節の変わり目の際は数日周期で体調の変化が心配となってきます。

(2)1日2回、ほぼ決まった時間で繰り返す気圧のアップダウン(大気潮汐)

一方で、天気図には明瞭に表現されることがないが天気痛を感じるパターンがあります。これは「大気潮汐」が関係している可能性があると考えられています。

大気潮汐を分かりやすく説明すると、昼間に太陽光で大気が温められることや日没後に冷やされることなどよって発生する周期的な気圧変化の事を指し、図のように1日2回、気圧のアップダウンを繰り返す半日サイクルの変動の気圧変化となります。

この周期はヒトの生体リズムの周期と一致している可能性があり、(1)の天気図レベルの気圧変動と比較すると1/1000レベルの変化となっていますが、天気痛の引き金となります。

この変化は一般的に9時頃と21時頃に高く、3時頃と15時頃に低くなります。低気圧や台風などが存在しない時でも気圧の変動幅は数hPa程度あるようです。
このアップダウンの変動の幅が平均的な状態より大きくなった時にも天気痛発症のリスクが高まるということもこれまでの調査から分かっています。

(3)周期性のある小さな気圧変動

最後に、微気圧変動と呼ばれるもので先ほどの大気潮汐よりも小さなスケールの変化です。

微気圧変動の例としては、低気圧接近時や積乱雲の発生時、山越えの気流の影響で発生します。

微気圧変動に伴う気圧変化量は1hPa以下で、継続時間は数分から数十分程度と短いですが、発生すると1日に複数回押し寄せるパターンが多いです。
上記2パターンよりも小さく細かい振動ですが、天気痛に敏感なセンサーをもった方はこのような微小な変化でも影響があると考えられています。

天気痛予報を参考に事前の対策を!

以上の3パターンが複合的に関係し、人体の気圧センサーに影響を及ぼしている時に天気痛の発症リスクが高まるとされています。

今回発表するウェザーニュースの天気痛予報の中では3時間ごとの発症リスクとして「安心」「やや注意」「注意」「警戒」の4段階で表示しています。

ご自身の体調変化などのパターンと照らし合わせて、ぜひとも天気痛の発症する前に予防薬やマッサージなどで対策をしてみてください。

佐藤純医師(天気痛ドクター)共同開発

この天気痛予報は気圧医学の第一人者である、佐藤 純(さとうじゅん)医師と共同開発しています。

佐藤 純(さとうじゅん):医師/医学博士、愛知医科大学痛みセンター客員教授、中部大学生命健康科学部教授、パスカル・ユニバース(株)CEO

1987年 名古屋大学大学院医学研究科修了
1987年-1991年 米ノースカロライナ大学留学
名古屋大学助手、准教授を経て、2013年 同大教授
2016年より愛知医科大学客員教授
2018年より中部大学教授(兼任)

気象変化と慢性疼痛、自律神経の関係が専門
愛知医科大学病院 痛みセンターにて 2005年より天気痛・気象病外来を開設
気圧医学の第一人者、日本疼痛学会理事、日本運動器疼痛学会理事、日本生気象学会理事などを歴任
天気痛ドクターとしてTV、雑誌等マスコミで活躍中、著書多数