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食べても大丈夫 白菜の黒い斑点の正体は

2020/01/23 05:58 ウェザーニュース

鍋物や漬物に欠かせない冬野菜のひとつ、白菜がおいしい季節になりました。冬場になると白菜は自身が体内のデンプンを糖に変えて凍らないようにするので、自然と甘みが増してきます。その上、霜にあたると繊維が柔らかくなり、凝縮した旨味を舌で感じやすくなると言われています。

肥料過多が斑点の原因

スーパーなどで白菜を選んでいる時に、黒っぽい斑点があるのを見かけることがあります。カビ? 虫くい? 正体がわからずつい避けてしまいますが、この斑点の正体について、管理栄養士の柴田聡美先生に伺いました。

「黒い斑点が出る現象は『ゴマ症』と呼ばれます。白菜は肥料の窒素が自身の中で多くなりすぎると、細胞内外の窒素濃度の差を減らすため水分を吸収しようとし、これが細胞の膨張を引き起こします。

細胞に膨張というストレスがかかると、ポリフェノール類の色素が合成されて、白菜の表面に黒い点として現れるのです。だから、食べても害はありません。それに、ゴマ症は1株の重さが重いほど多く発生します。ずっしりと重い、充実した白菜ほどゴマ症が出やすいわけですね」(柴田先生)

白菜は芯から使うと旨味が逃げない

白菜を買うと、使い切らないうちにしおれてしまったりすることがあります。保存法や調理法のコツがあるのでしょうか?

「白菜は収穫された後、4分の1に切られたとしても外側の葉から中心部に栄養を送る性質があります。そのため、芯が残っていると、外側の葉がせっせと栄養を芯に送ります。そうなると外側ほど旨味も抜けた状態になり、おいしくなくなります。

これを防ぐには、芯から使いはじめてください。芯を取った白菜は、栄養を送る場所がなくなるので、外側の葉にも栄養が留まり、旨味も残るのです。また、新鮮な芯の部分は旨味のもとになるグルタミン酸が外側の葉の14倍も含まれるので、新鮮なうちに先に食べましょう。

保存は、キッチンペーパーで包んで、できれば野菜室の中に立てておいてください。食べきれなければざく切りにして固めにゆで、水を絞ってからチャック式の保存袋に入れて冷凍してください」(柴田先生)

白菜は95%が水分で、しかも淡色野菜なので栄養価が低いように思われがちですが、ビタミンやミネラルがバランスよく含まれています。特に体内の余分なナトリウムを排出するカリウムを多く含むので、高血圧の予防にも効果があると言われています。

今が一番おいしい白菜。たっぷり食べて冬を乗り切りましょう。

参考資料など

広島県立農業試験場「ハクサイのゴマ症発生要因について」