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餅をのどに詰まらせたら「背部叩打法」

2020/01/02 11:23 ウェザーニュース

お正月に心配されるのが、お餅をのどに詰まらせるという事故です。東京消防庁管内では2014〜2018年の5年間に、餅(団子などを含む)による窒息事故で482人が救急搬送されています。そのうち4割近い184人が1月に集中していました。

生命の危険がある窒息誤飲

餅だけでなく、ご飯やパン、ときには袋や入れ歯をのどに詰まらせることを「窒息誤飲」と言います。

「雑煮を食べていたら、突然苦しみだし、顔が真っ青になり倒れ、呼びかけに反応がなくなった」(60代・重篤)、「飲食店で食事中にステーキをのどに詰まらせ、突然苦しがり倒れこんだ」(70代・重症)といった事故例が東京消防庁に報告されています。

窒息誤飲事故は生命の危険が高いのが特徴です。人は物をのどに詰まらせて窒息すると、数十秒で意識がなくなり、5〜7分で脳死ないし心肺停止すると言われています。東京消防庁の救急隊が救急現場に到着する時間は平均7分02秒(2018年)ですから、窒息誤飲事故は救急車を待っていては助かりません。どうしたらよいのでしょうか。

背中を叩いて餅などを吐き出させる

「餅などをのどに詰まらせたことに気づいたら、直ちに背部叩打法(はいぶこうだほう)を行ってください。患者の後ろに回って、手のひらの付け根で、左右の肩甲骨の中間あたりを力強く何度も叩くのです。餅などが取れるか、患者の反応がなくなるまで続けます」と横浜相原病院(横浜市瀬谷区)の吉田勝明院長が言います。
詰まった異物を除去するには腹部突き上げ法(ハイムリック法)もありますが、妊婦や幼児には使えないので、背部叩打法を覚えておけば十分だそうです。

「口の中に餅などが見えたら、指で口を開いて、餅をつまみ出してください。しかし、餅などが詰まったままで反応がなくなれば、直ちに心肺蘇生をしてください。心肺蘇生を続けながら救急車の到着を待ちます」(吉田院長)
餅をのどに詰まらせないためには、お子さんやお年寄りが食べる餅は小さく切って、食べやすい大きさにすることです。また、お子さんやお年寄り食事のようすを見て注意を払ってください。そして、いざというときに備えて、背部叩打法を覚えておいてください。