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インフルエンザに感染した子の言動に注意しなければいけない理由

2020/01/06 05:44 ウェザーニュース

冬休みが明けて学校が始まるとインフルエンザ感染はますます拡大が予想されますが、インフルエンザに感染した子が異常な言動をとることがあります。たとえば、先月10日に広島県で男子中学生(12歳)が自宅マンションの12階から飛び降りて亡くなりました。

インフルエンザ脳症とみられ、問題になっている抗インフルエンザ薬を服用したか否かにかかわらず誰もが発症する可能性があります。

1シーズン100〜200件の報告

「インフルエンザ脳症は、インフルエンザに感染して発熱した後、急速に意識障害・けいれん・異常言動を起こす病気です。1シーズンで100〜200件ほど報告されていますが、19歳以下の子が7〜9割を占めています」というのは横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。

厚生労働省がまとめた「インフルエンザ脳症ガイドライン(改訂版)」によると次のような異常な言動・行動が報告されています。

厚生労働省が新たに示した対策

「以前はタミフルやリレンザなど抗インフルエンザ薬を服用すると異常行動が出ると言われましたが、薬の服用の有無や種類にかかわらず異常行動が報告されています。厚生労働省も『小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は異常行動にご注意ください』と呼びかけ、次のような対策を追加しました」(吉田院長)

(1)高層階の住居の場合
・玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実に行う(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む)
・ベランダに面していない部屋で寝かせる
・窓に格子のある部屋で寝かせる

(2)一戸建ての場合
1に加え、できる限り1階で寝かせる

疑いがあれば救急病院へ

インフルエンザ脳症は治療を行わないと約30%が亡くなりますが、治療を行うと致命率は8〜9%に改善するそうです。しかし、後遺症を残す子どもは25%程度いると言われているので油断できません。

「お子さんがインフルエンザで高熱を出した後、意識障害、けいれん、異常な言動・行動があればインフルエンザ脳症の疑いがあります。診断には頭部CTや脳波の検査が必要で、一刻を争う場合があるので、救急病院で診てもらってください」(吉田院長)

乳幼児を含む未成年者は、1シーズン100〜200人と数は少ないものの、高熱を出した後にインフルエンザ脳症を発症する可能性があります。自宅で療養しているときは1人にさせず、常に家人がそばにいて見守ってください。