小説のタイトルにもなった「おおつごもり」
「大晦日」の別名として比較的知られているのが「大つごもり」でしょう。作家の樋口一葉(ひぐち・いちよう)が1894(明治27)年に発表した小説のタイトルとして知られています。
主人公のお峯が育ての親である伯父宅を訪ねると伯父の安兵衛が病に伏せっていて、高利貸しから借りた金が返せず、延滞金が必要だと聞く。お峯は奉公先に借金を申し込むが、借りられずにお金を盗んでしまう。それが「大つごもり」の日だったことがタイトルの由来です。
「つごもり」は「月が隠れる日」、すなわち「月隠(つごもり)」が訛ったもので、毎月の末日を指します。1年の最後の「つごもり」なので、「大」を付けて、12月31日が「大つごもり」と呼ばれるのです。
主人公のお峯が育ての親である伯父宅を訪ねると伯父の安兵衛が病に伏せっていて、高利貸しから借りた金が返せず、延滞金が必要だと聞く。お峯は奉公先に借金を申し込むが、借りられずにお金を盗んでしまう。それが「大つごもり」の日だったことがタイトルの由来です。
「つごもり」は「月が隠れる日」、すなわち「月隠(つごもり)」が訛ったもので、毎月の末日を指します。1年の最後の「つごもり」なので、「大」を付けて、12月31日が「大つごもり」と呼ばれるのです。
「大年」「大歳」と呼ばれることも
大晦日の別名に「大歳」「大年」(どちらも読みは「おおとし」あるいは「おおどし」)があります。大晦日と同じように、「大」を付ければ年の最後というのです。
俳句の季語にもなっていて、<大年にかぎって雪の降りにけり>(一茶)、<ふさはしき大年という言葉あり>(高浜虚子)などと詠まれています。
俳句の季語にもなっていて、<大年にかぎって雪の降りにけり>(一茶)、<ふさはしき大年という言葉あり>(高浜虚子)などと詠まれています。
「除日」も大晦日の別名だった
大晦日は1年の最後の日で、古い年を除き去り、新しい年を迎える日という意味から「除日(じょじつ)」ともいいます。その日の夜は「除夕(じょせき)」とか「除夜(じょや)」というので、大晦日の夜から年明けにかけて寺院で打ち鳴らす鐘を除夜の鐘というのです。
<水撒きし舗道にうつれ除夜の星>(山口誓子)、<鳴り終わる一瞬の息除夜の鐘>(山口青邨)
1年の終わりは心静かに、かすかに聞こえる除夜の鐘に耳をすませてみませんか。
<水撒きし舗道にうつれ除夜の星>(山口誓子)、<鳴り終わる一瞬の息除夜の鐘>(山口青邨)
1年の終わりは心静かに、かすかに聞こえる除夜の鐘に耳をすませてみませんか。
参考資料など
『広辞苑(第七版)』(岩波書店)、『三省堂国語辞典(第七版)』(三省堂)