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冬でも寝床で虫刺され… それはトコジラミのせい?

2019/12/18 06:00 ウェザーニュース

冬なのに寝床で虫に刺されることはありませんか? 刺された痕が赤く残り激しいかゆみを伴えば、犯人はトコジラミかもしれません。一度は日本から駆逐されたトコジラミですが、海外との往来が激しくなって再び戻ってきたのです。

海外から侵入して繁殖中

トコジラミは、「シラミ」ではなく「カメムシ」の仲間です。体長4〜5mm前後で、かつては「南京虫(ナンキンムシ)」と呼ばれていました。江戸時代から国内に生息していましたが、戦後は強力な殺虫剤によってほとんど駆除されました。しかし、海外と人の往来が激しくなって、旅行者のスーツケースや手荷物にまぎれて侵入し、再び日本で繁殖しているのです。

トコジラミの生態に詳しいアース製薬・虫ケア用品ブランドマネージャーの北口明宏さんが語ります。「トコジラミは夜中に吸血するため、寝床で衣類から露出している四肢や額などを刺されます。トコジラミとマダニの大きさは似ていますが、マダニの場合は屋外に生息しているので、寝床で刺されることはありません」

刺された痕は特徴があり、トコジラミにやられたことがわかるといいます。

「トコジラミに刺されたときの特徴は、刺咬による激しいかゆみです。唾液によるアレルギー反応で、激しいかゆみを伴います。また赤い痕跡が残ることです。ときには発熱を伴うなどの症状が出ることもあります」

寒さに強いので冬でも活動的

電気を消すと潜み場所から吸血しに!?
なぜ冬なのにトコジラミは活動的なのでしょうか。

「トコジラミは25℃くらいの暖かい場所を好み、主な繁殖時期は6~9月ですが、近年では暖房などの好条件により、日本の室内では1年中生息できます。寒さにも強い虫で冬にも活動します」(北口さん)

朝起きて何に刺されたのだろうと思って探しても見つからないことが少なくありません。

「トコジラミは明るいところが苦手です。日中は部屋の隅(天井部分)や押入れの奥、ベッドの下などの狭い隙間に潜んでいて、基本的に明るいところには出てきません。夜に就寝する際に電気を消すと、潜み場所から吸血しに出てくるのです。

隠れるのが得意なトコジラミですが、潜み場所の周辺には痕跡が残ります。天井や壁、カーテン、寝具付近に2mmほどの黒褐色の染みのような汚れ(血糞)がある場合はトコジラミが発生している可能性があります」(北口さん)

殺虫剤が効かない抵抗性種も登場

トコジラミ対策は、まず家に持ち込まないことです。海外によく行く人は覚えておいてください。

「雌は産卵時には1日に3~6個のペースで3ヵ月産卵し続けます。そのため、トコジラミを持ち帰ると駆除が大変なので、まずは持ち帰らないことが重要です。海外渡航者の荷物にまぎれて日本に入り込むケースが多いので、宿泊先では明るい部屋で荷造りし、帰宅後に荷物の確認をすることをおすすめします」(北口さん)

家に侵入したトコジラミはどうしたらよいのでしょうか。

「トコジラミは飛ぶことができず、おなかをこすりつけて歩き回ります。そこで有効成分を含んだマイクロパウダー入りの駆除剤を床にまいておくと、マイクロパウダーがトコジラミの体に密着して、効果的に駆除することができます。トコジラミの被害を見つけたら、部屋の隅(天井部分)や押入れの奥、ベッドの下などの潜み場所になりそうな狭い隙間にスプレーすることをおすすめします」(北口さん)

最近は薬剤の効きにくい抵抗性のトコジラミの出現も問題になっています。その場合は専門の業者に駆除を依頼するとよいそうです。

参考資料など

アース製薬の『アース害虫駆除なんでも事典』(https://www.earth.jp/gaichu/wisdom/sonota/article_011.html)