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出火原因トップは42年連続で放火 防ぐ方法は

2019/12/07 11:16 ウェザーニュース

東京消防庁によると、1976年まで管内の出火原因のトップは「たばこ」でしたが、1977年以降は「放火」(放火の疑いを含む)がトップを続けています。冬は火災が増える時期ですが、放火を防ぐことはできるのでしょうか。

放火は42年連続トップ

東京消防庁の管内では2018年中に3973件の火災が発生しましたが、うち放火火災は705件、17.7%で出火原因の第1位でした。これで1977年以来42年連続トップを続けています。ただし放火火災は年々減っていて、2009年の1835件件と比べると62%も減っています。

「月別にみると放火火災は12月から2月にかけて多くなります。時間帯別にみると一般火災は人々が活動する日中に多く発生しているのに対して、放火火災は日が沈む夕方から人々が眠っている深夜の時間帯に多く発生しているのが特徴です」(東京消防庁広報課)
全国的にみても、放火・放火の疑いによる火災は4706件(全火災の12.4%)で、「たばこ」(8.9%)や「たき火」(8.1%)をおさえて出火原因のトップです(総務省消防庁、2018年)。

放火されないための7ヵ条

「放火は防げないと思うかもしれませんが、放火の手口を分析すると、放火しにくい環境をつくれば防ぐことは可能です」(東京消防庁広報課)

東京消防庁は「放火されない環境をつくろう!」として次の7ヵ条をあげます。

(1)家の周りはいつも整理整頓し、新聞紙やダンボールなどの燃えやすい物を置かないようにしましょう。
(2)ゴミは決められた収集日の決められた時間に出しましょう。
(3)外灯などを取り付け、家の周りを明るくしましょう。
(4)物置や車庫などは必ずカギをかけておきましょう。
(5)自動車やオートバイなどのボディカバーは防炎品を使いましょう。
(6)外出するときは隣に一声かけていきましょう。
(7)地域ぐるみ、まちぐるみで放火防止に取り組みましょう。

放火犯は紙やごみくずに火をつける

「放火されない7ヵ条」をもう少し詳しくみていきます。放火犯は何に火をつけたのかを調べたところ、放火705件のうち、本・雑誌・ダンボールなどの「紙・紙製品」が161件、「ごみくず」が120件と上位を占めていました。そうした燃えやすい物を置かない、ゴミは決められた日時に出すことで放火されにくい環境づくりができます。

「また、放火犯は犯行を見られたくないので、外灯などで明るい場所は避けます。人が近づくと点灯するセンサーライトも有効です」(東京都消防庁広報課)

物置や車庫も放火犯に狙われます。2018年に放火された倉庫・物置が22件、車庫・駐車場が15件ありました。物置や倉庫にはカギをかけておきましょう。

自動車やオートバイも2018年に10件放火されました。ボディカバーに防炎品を使えば燃え上がらずにすみます。

隣近所とのコミュニティがしっかりしている地域は放火されにくいといわれます。また、火の用心の夜回りなどを行う地域は放火犯も敬遠する傾向があるようです。

廃品置場に放火、その対策は?

マンションの屋内ゴミ置場が放火された事例があります。昨年12月、15時ごろ何者かがゴミ置場に侵入し、ダンボールなどの可燃物に放火したのです。居住者が発見して119番通報し、別の居住者が消火器で初期消火しましたが、内壁2平方メートル、収容物1平方メートルが焼けました。

「放火火災は夜間に多いのですが、人目に付きにくいところでは昼の時間帯でも発生します。放火火災を予防するには、ゴミ置場も施錠管理(居住者だけが知っている暗証番号など)を徹底し、防犯カメラが設置されていることを周知させるなど、放火されない環境づくりに取り組むことが重要です」(東京消防庁広報課)

出火原因のトップは依然として放火です。放火が増える時期を迎えて、警戒心を怠らないでください。