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身近なものでお米を美味しく炊く裏技

2019/10/19 09:46 ウェザーニュース

食欲の秋とも言われるように、この時期は新米が美味しい季節。ただ、新米もその年によって出来・不出来があります。グレードの高いお米なら間違いないとはいえ、それなりに価格も高いので、家計のことを考えると毎度というわけにはいきません。

手に入りやすい比較的安いお米でも、美味しくいただく方法はないものでしょうか。

そこで安価なお米や古くなってしまったお米でも、炊いて美味しくなるとっておきの裏ワザを、梶谷米穀店(福岡県北九州市)の梶谷登さんに教えていただいきました。

米を美味しく炊く裏ワザ基本編

お米を美味しく炊くために、一般的によく知られている方法は、お酒やみりん、木炭を使う方法です。

「酒なら、米1合に対して大さじ1杯、みりんなら、米一合に対して大さじ1/2杯を目安に入れて炊きます。お酒が古くなったお米の臭いをとり、また、お酒に含まれる糖分が甘味を与えてくれます。みりんにもほぼ同様の効果があります」(梶谷さん)

木炭を入れるのは、臭い消しに加えて、炭に含まれるミネラルがお米の味を引き立ててくれるからです。一般的な木炭でもOKですが、できれば備長炭が最適。また、炊飯専用に加工された木炭もスーパーやホームセンターなどで売られています。

古くなったお米を美味しく炊く方法

古くなって味が劣化し、においや黄ばみが気になるお米を美味しく炊く方法もあります。

「サラダオイルやマヨネーズを加えると新米のように炊き上がります。サラダオイルならお米の量に関係なく2~3滴、マヨネーズなら米1合に対して大さじ1杯を目安に加えます。お米一粒一粒に油の被膜をつくり、つやつやで張りのある炊き上がりになり、臭いもとれます」(梶谷さん)

また、昔から古いお米を再生させる方法として知られるのが、大根のおろし汁を加える方法です。

「大根おろしに含まれる酵素が、お米のでんぷんを分解して糖分に変えるため、甘味と旨味が増すのです」(梶谷さん)

安いお米を美味しく炊く方法

あまり美味しくない安いお米でも、高級なお米のような芳醇な味わいに変えてくれるのは、昆布やにがりです。昆布は、だし用の昆布を1枚乗せて炊きます。にがりは、米1合あたり1滴を加えるだけです。

昆布が旨味を足してくれるのは何となく想像つくと思いますが、では、にがりはどうして美味しくなるのでしょう。

「にがりは海水を煮詰めてつくります。つまり、ミネラルが豊富。中でも、主成分である塩化マグネシウムがお米の組成を変えてくれるのです」(梶谷さん)

にがりが手元にない場合、塩でも代用できます。ただし、ミネラルをほとんど含まない食塩では効果が薄いので、天然塩を使うようにしましょう。

さらに、安いお米を劇的においしくしてくれるとっておきの方法があると言います。

「はちみつを入れることです。分量はお米3~4合に対して大さじ1杯が目安です。甘ったるくなりそうですが、そうではありません。はちみつに含まれる酵素がでんぷんを分解し、お米本来の自然な甘さを引き出してくれるのです」(梶谷さん)

もっちり食感を出したいときには

もっちり感が足りないときは、寒天やもち米を加えると良いそうです。

「寒天は米1合に対して1グラム程度が適量。あまり入れすぎると、寒天特有のくせのある臭いが出てしまうので注意しましょう。もち米は、米の量に対して1割を目安に混ぜて炊きます」(梶谷さん)

いずれも、ぱさぱさしたお米がもっちりとした食感に炊き上がり、味もよくなるそうです。

美味しく炊く裏ワザをいくつか紹介しました。これまで試したことがない人も多いと思います。新しいご飯との出会いも楽しんで、自分好みの炊き方を見つけてみてはいかがでしょうか。

参考資料など

取材/梶谷米穀店