急速に下がる気圧が頭痛をもたらす
「2019年9月7~8日に関東地方を襲った台風15号は上陸時の中心気圧が960hPa(ヘクトパスカル)でしたから、一気に40hPa前後も気圧が下がったことになります。気圧が急速に下がったことで頭痛を訴える人が少なくありませんでした。私はこれを“台風頭痛”と呼んでいます」と語るのは、ウェザーニュース気象病顧問アドバイザーで愛知医科大学客員教授・中部大学教授の医師、佐藤純先生です。
佐藤先生によると、台風頭痛を引き起こすメカニズムは2通り考えられるといいます。
「ひとつは耳の奥(内耳の前庭)に気圧センサーがあり、気圧が下がると自律神経にストレス反応が起きて交感神経が優位になることです。すると頭部や首の血管が収縮して、頭が締め付けられるような緊張型頭痛を起こすのです」(佐藤先生)
佐藤先生によると、台風頭痛を引き起こすメカニズムは2通り考えられるといいます。
「ひとつは耳の奥(内耳の前庭)に気圧センサーがあり、気圧が下がると自律神経にストレス反応が起きて交感神経が優位になることです。すると頭部や首の血管が収縮して、頭が締め付けられるような緊張型頭痛を起こすのです」(佐藤先生)
ラットを使った実験で検証
もうひとつのメカニズムは、気圧を下げると三叉(さんさ)神経の興奮が起こることです。佐藤先生は10年ほど前、ドイツの研究者たちとラットを使った実験を行いました。
「気圧を40hPa下げて観察すると、ラットの三叉神経が興奮するのを観察できました。なぜ気圧を下げると三叉神経が興奮するのか詳しくはわかっていませんが、三叉神経は人間にもあり、顔の感覚(熱い・冷たい・痛いなど)を脳に伝える働きをしています。三叉神経の興奮が脳の血管を拡張させて偏頭痛を引き起こす可能性が考えられます」(佐藤先生)
「気圧を40hPa下げて観察すると、ラットの三叉神経が興奮するのを観察できました。なぜ気圧を下げると三叉神経が興奮するのか詳しくはわかっていませんが、三叉神経は人間にもあり、顔の感覚(熱い・冷たい・痛いなど)を脳に伝える働きをしています。三叉神経の興奮が脳の血管を拡張させて偏頭痛を引き起こす可能性が考えられます」(佐藤先生)
台風の接近前の対策で頭痛を軽減するには?
台風が近づくと頭痛を発症することがわかっていれば、前もって対策をしておきたいものです。
「台風頭痛の対策はいくつかあり、いずれも接近する前に行えば頭痛をやわらげることができます。もっとも手軽にできるのが、佐藤先生が考案した「耳を温めるマッサージ」と「くるくる耳マッサージ」です(イラスト参照)。
「台風頭痛の対策はいくつかあり、いずれも接近する前に行えば頭痛をやわらげることができます。もっとも手軽にできるのが、佐藤先生が考案した「耳を温めるマッサージ」と「くるくる耳マッサージ」です(イラスト参照)。
「気圧センサーがある耳を指で刺激したり、ホットタオルやペットボトルで耳を温めることで、耳の血流をよくして乱れた自律神経を整える効果があります。台風頭痛が深刻なら次に紹介するような複数の対策を併用してもかまいません」(佐藤先生)
まず、耳栓を使う方法です。
「耳栓のなかでも、天気の崩れにともなう気圧変化に対応できる耳栓なら、耳の奥の気圧センサーを保護できます。周囲の音も聞こえるので、耳栓をしたまま台風をやり過ごせます」(佐藤先生)
酔い止め薬を服用して台風頭痛を軽減する方法もあります。
「酔い止め薬は内耳の前庭に働きますが、前庭は気圧センサーも兼ねているので、台風頭痛を予防できる場合があります。合わせて、めまいや頭痛に効く漢方の五苓散(ごれいさん)も、同じような効果が期待できます」(佐藤先生)
台風が近づくと頭痛を発症する人は、軽減する対策を覚えておいてください。
まず、耳栓を使う方法です。
「耳栓のなかでも、天気の崩れにともなう気圧変化に対応できる耳栓なら、耳の奥の気圧センサーを保護できます。周囲の音も聞こえるので、耳栓をしたまま台風をやり過ごせます」(佐藤先生)
酔い止め薬を服用して台風頭痛を軽減する方法もあります。
「酔い止め薬は内耳の前庭に働きますが、前庭は気圧センサーも兼ねているので、台風頭痛を予防できる場合があります。合わせて、めまいや頭痛に効く漢方の五苓散(ごれいさん)も、同じような効果が期待できます」(佐藤先生)
台風が近づくと頭痛を発症する人は、軽減する対策を覚えておいてください。