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止まらない風疹の流行 「風疹クーポン券」使用率はわずか5%

2019/09/18 05:07 ウェザーニュース

2018年の秋から流行が続く風疹。国立感染症研究所は、9月10日に「風疹急増に関する緊急情報」を公開するなど、1年経過した今でも流行は継続中です。

風疹で特に怖いのは、妊娠初期の女性が風疹に感染すると、新生児が心疾患・難聴・白内障など先天性風疹症候群になることです。そこで風疹流行の中心になっている働き盛りの男性に風疹クーポン券を配って、免疫の有無を調べる抗体検査やワクチン接種を受けてもらおうとしたのですが、クーポン券の使用率が低調なのです。

今年度は40〜47歳の男性が対象

今年4月以降、厚生労働省は市区町村を通して1972年4月2日〜1979年4月1日生まれのすべての男性に「風疹クーポン券」を配布しました。年齢でいえば40〜47歳です。この年齢の男性は、風疹ワクチンを接種していないため、今の風疹流行の中心になっています。

「今年4月に市区町村を通して対象者の約646万人にクーポン券を郵送しました。6月までの3か月間にクーポン券を使用した人は約34万人なので使用率は5%ほどです」(厚生労働省結核感染症課)

「風疹クーポン券」が届いたら、近くの医療機関で風疹の抗体検査をします。採血をして血液を調べれば、風疹に免疫があるかどうかがわかるのです。免疫があればそれで終了ですが、免疫がなければ風疹ワクチンを接種します。クーポン券を提示すれば、抗体検査もワクチン接種も無料です。

「40〜47歳の男性の抗体保有率は約80%です。風疹ワクチンを接種するようになった、それより若い世代の抗体保有率は95%を超えているので、40〜47歳男性が今の風疹流行の中心と考えられます。クーポン使用率を上げていただくために、対象年齢の男性は会社の定期検診で抗体検査を受けていただき、必要ならワクチン接種をお願いしています。なお、クーポン券は2022年3月まで有効です」(厚生労働省結核感染症課)

来年度は1962年4月2日〜1972年4月1日生まれの男性に「風疹クーポン券」が配布される予定です。年齢でいえば48〜57歳です。

前回の流行で45人の乳児が症候群

日本では約5年おきに風疹が流行しています。前回は2012〜13年の流行で、約1万7000人が感染し、先天性風疹症候群による障害を負った乳児45人が報告されています。

今回の流行は2018年に始まり、19年9月1日までに5102人の感染者と3人の先天性風疹症候群の乳児が報告されています。

乳児が先天性風疹症候群を発症する確率は、妊娠1か月で50%以上、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%程度とされます。妊婦が妊娠初期に風疹に感染すると乳児が高い確率で先天性風疹症候群になるのです。

日本の風疹流行の状況を受けて、米国疾病予防管理センターは2018年10月、日本の風疹警戒レベルを3段階中の2番目の「警告」に引き上げました。そして米国の妊娠中の女性に対し、風疹の予防接種を受けていない人は感染の拡大が収まるまで、日本への渡航をやめるよう勧告を出しました。

2020年は東京オリンピック・パラリンピックです。妊娠中の女性も安心して日本に来られるように、風疹クーポン券が届いたらぜひ、抗体検査(必要ならワクチン接種)を受けてください。