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2人に1人が「熱中症になったことがある」!? 症状は人によってさまざま

2019/09/06 09:38 ウェザーニュース

梅雨が長引いたとはいえ、今年の夏も厳しい暑さに見舞われ、熱中症で救急搬送された人が相次ぎました。総務省消防庁の発表によると熱中症で救急搬送された人は9月1日までに6万1250人にのぼりました。

しかし、救急搬送されなくても、熱中症になった人は少なくありません。ウェザーニュースが行ったアンケート調査で熱中症になった経験をたずねたところ、半数近くの人が「熱中症になったことがある」と回答したのです。

2%が救急搬送の体験をした

アンケート調査の集計結果をみると、「ある」と回答した人は合わせて45%にのぼりました。半数近い人は熱中症になったことがあるのです。
横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田院長はこの結果について、「この種の大規模調査を初めて見ました。回答者は熱中症に関心が高い人というバイアスがかかっているかもしれませんが、それを差し引いても熱中症体験者が45%というのは多くて驚きました」と語ります。

熱中症とは、高温多湿状態で体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気です。

では、救急搬送された人は、どんな症状だったのでしょうか。まずは「救急搬送された」と回答した人のコメントを一部抜粋して紹介します。

【救急搬送された】
▼「めまい、頭痛、吐き気、目の前が真っ暗になり救急車を呼んでもらいました。点滴2本打ってもらい何とか回復しましたが、2度となりたくないくらいつらいです」
▼「過呼吸→目の前チカチカ→目の前真っ白→全身の力抜けた感じ→涙出る→声が出ない」
▼「ゴルフ場で、吐いて、けいれん、四肢すべて順繰りにつり、かなり痛みがあった」
▼「テニス中に意識喪失」
▼「気分が悪くなって、気が付いたら救急車の中だった。健康保険証持っていなかったから支払いが大変だった」

熱中症で救急搬送された人は、昨年5〜9月に約9万5000人いました。今年も9月1日までに6万1250人が搬送されています。しかし、救急搬送された人は熱中症になった人の一部にすぎません。

熱中症の症状は人によってさまざま

熱中症で救急搬送された人より、自ら病院へ行ったり、病院へ行かずに自分で冷却したり水分摂取して回復した人のほうがずっと多いのです。どんな症状や対処を行ったのでしょうか。

【自ら病院へ行った】
▼「午前中、ベランダで洗濯物を干していて発症。めまい、高熱、のどの渇き(どんなに水を飲んでも渇きが解消しない)でダウン。医者に行って点滴のお世話になりました」
▼「身体がだるくて頭痛もあり、通院の日だったので尿検査をしたら熱中症とわかり点滴しました」
▼「暑いのに寒くて汗が出なくなった」
▼「呼吸が浅くなり、腕や足にけいれんが起こりました。水分摂取と受診が早かったので軽症ですみました」

【病院へは行かず自己診断】
▼「仕事中に頭痛と吐き気がし意識をなくしかけたので、あわてて水分をとってしばらく横になっていた」
▼「動悸とめまいがしたので、すぐに涼しいところで首を冷やした」
▼「熱が体内にこもり汗が出ない状態で、家の中が蜃気楼のようになりました。梅干しを食べて、保冷剤を首、脇の下、股関節にテーピングして冷やしました」
▼「吐き気、ままい、だるさで立ち上がれず。つい先週のことでした」
▼「滝のような汗と激しい頭痛」

「熱中症の症状は人によってさまざまですが、この時期に『いつもと違う』という症状が出たら熱中症を疑ってください。

意識がはっきりしていれば、涼しいところに移動して水分と塩分を補給し体を冷却します。回復に時間がかかるようなら医療機関で診てもらってください。意識がはっきりしなかったら直ちに救急搬送が必要なので周囲に助けを求めてください」(吉田院長)

アンケートでは45%の4810人が「熱中症になったことがある」と回答しました。うち「救急搬送された」と回答したのは180人ですから、その27倍が熱中症体験者ということになります。

この週末も残暑が続きます。くれぐれも熱中症に気をつけて、暑さを乗り切ってください。