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熱戦続く夏の甲子園 名物「浜風」とは?

2019/08/18 11:23 ウェザーニュース

今大会が第101回の夏の甲子園。高校球児たちによる熱戦が、連日繰り広げられていますが、その勝敗に大きな影響を与えている要素として、「風」があります。

「浜風」は左打者泣かせ

甲子園の実況を聞いていると、よく「浜風」というフレーズが出てきます。この「浜風」とは、気温の上昇したよく晴れた日に、球場の南西から吹きこんでくる海風のこと。甲子園球場にはこの浜風がよく吹き、球場の名物になっています。

晴れた日の昼間は、海上よりも陸上のほうが早いペースで気温が上昇するため、暖められた空気が軽くなって上昇し、海の方から空気が流れてくる(=海風)のです。このため、海に近いライトスタンド側から「浜風」が吹きやすいというわけです。

甲子園球場は、左打者に本塁打が出にくい球場として知られています。それは、浜風がライト方向からレフト方向へ吹くため。ライトへの飛球が伸び悩むので、引っ張ってライトへの飛球が多くなる左打者には、本塁打が出にくいというわけです。

実際、テレビ中継を見ていても、ライト方向への大飛球が失速し、アナウンサーが「風は逆!」「風にもどされる!」などとさけぶシーンが何度となく見られます。

甲子園の浜風とは
また、浜風は攻撃側だけでなく、守備側にも影響を与えます。打球の落下地点が浜風の影響で変わるため、なんでもないように見えるフライを、野手が落としてしまうケースが多々あるのです。

今大会屈指の好投手・奥川恭伸投手(星稜)は、完封勝利で初戦を飾ったあと、「風に助けられた」とコメントしていました。「浜風」にうまく対応し、それを味方にできるかどうかが、勝利を手にする要因のひとつと言えるでしょう。

甲子園本塁打数上位はやはり右打者

「左打者に不利」は、過去のデータからもうかがえます。これまで、ひとつの大会(夏)で4本塁打以上放った選手は計6人。いずれも右打者です。

【大会最多本塁打記録】
1位:中村奨成(広陵)/6本(第99回)
2位:清原和博(PL学園)/5本(第67回)
3位:藤井進(宇部商)/4本(第67回)、平田良介(大阪桐蔭)/4本(第87回)、広井亮介(智弁和歌山)/4本(第88回)、北條史也(光星学院)/4本(第94回)

また、春の大会をふくめた甲子園の通算本塁打数を見ても、6本以上放った4人はすべて右打者。4~5本放っている選手もほぼ右打者で、左打者は森友哉選手(大阪桐蔭・5本)、藤原恭大選手(大阪桐蔭・5本)、松井秀喜選手(星稜・4本)ら、わずかしかいません。

【甲子園通算本塁打記録】
1位:清原和博(PL学園)/13本
2位:桑田真澄(PL学園)/6本、元木大介(上宮)/6本、中村奨成(広陵)6本

今大会は6日目(8月11日)が終わった時点で、14本の本塁打が出ていましたが、左打者の本塁打は1本のみ。その本塁打もレフト方向へ流し打った、「浜風に乗った」本塁打でした。7日目以降は台風が接近していた影響もあり、浜風とは逆方向に風が吹く試合が増え、左打者の本塁打も増加。しかし、台風が過ぎ去ったあとはまた浜風がよく吹き、左打者に本塁打が出にくくなっています。

ベスト8が出そろい、夏の甲子園もいよいよ終盤に突入。試合展開を左右するこの浜風に、ぜひ注目してみてください。