熱中症と誤診された脳梗塞
4年前の夏休み、高校1年生の男子(当時15歳)はテニス部の練習中に倒れて救急搬送されました。搬送された病院で熱中症と診断され、点滴を受けて体を冷却されましたが回復しません。詳しい検査をすると脳梗塞でした。男子は一命を取り留めましたが、失語症と右半身マヒの後遺症が残りました。
「めまい、吐き気、ふらつき、意識を失うなどの症状は、脳梗塞と熱中症に共通しています。真夏に運動中倒れれば熱中症を疑うのは素人なら無理もありませんが、医療者であればしっかり鑑別するべきでした」と語るのは横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。
「めまい、吐き気、ふらつき、意識を失うなどの症状は、脳梗塞と熱中症に共通しています。真夏に運動中倒れれば熱中症を疑うのは素人なら無理もありませんが、医療者であればしっかり鑑別するべきでした」と語るのは横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。
夏も多い脳梗塞
脳梗塞というと冬に発症するイメージがありますが、夏にも多い病気なのです。
「汗をかいて体が脱水状態におちいると体内の血液がドロドロになります。すると血管の中で血栓ができて、その血栓が脳の血管を詰まらせて脳梗塞が起こるのです。このタイプの脳梗塞は夏に多く、熱中症と間違われることが少なくありません。
熱中症は水分や塩分をとり、体を冷やすことで回復しますが、脳梗塞の場合はこの対処法は効果がないどころか、かえって悪化させることがあります。発症から数分で脳細胞の壊死(えし)が始まり、時間がたつほどダメージが広がるのです」(吉田院長)
ちなみに、発症後4時間30分以内に、t-PAという血栓溶解剤を静脈に注射すれば、約4割の患者は後遺症をほぼ残さずに回復が可能とされています。脳梗塞は一刻も早く診断する必要があります。
「汗をかいて体が脱水状態におちいると体内の血液がドロドロになります。すると血管の中で血栓ができて、その血栓が脳の血管を詰まらせて脳梗塞が起こるのです。このタイプの脳梗塞は夏に多く、熱中症と間違われることが少なくありません。
熱中症は水分や塩分をとり、体を冷やすことで回復しますが、脳梗塞の場合はこの対処法は効果がないどころか、かえって悪化させることがあります。発症から数分で脳細胞の壊死(えし)が始まり、時間がたつほどダメージが広がるのです」(吉田院長)
ちなみに、発症後4時間30分以内に、t-PAという血栓溶解剤を静脈に注射すれば、約4割の患者は後遺症をほぼ残さずに回復が可能とされています。脳梗塞は一刻も早く診断する必要があります。
脳梗塞のチェックポイント
どうしたら脳梗塞と熱中症を区別できるのでしょうか。
「脳梗塞の特徴的な症状は“片マヒ”です。脳梗塞は左右どちらかの脳血管に血栓が詰まる病気で、たとえば左脳の血管に血栓が詰まれば右半身にマヒが起こります。口や眉毛などが片側だけが歪む、片足や片腕だけ力が入らない、水を口に含んでもうまく飲み込めずにこぼれ落ちるといった症状が1つでもあれば脳梗塞が疑われます。
一方で、血栓が詰まる場所によっては、マヒがなくても見える範囲が狭くなる視野障害、物が二重に見える複視や周りが暗くなるといった視力障害が起こることもあります」(吉田院長)
脳梗塞が疑われる症状があれば、早急に119番に電話して、脳梗塞の疑いがある旨を伝え、体を動かさずに救急車の到着を待ってください。なお、夏の脳梗塞の予防は熱中症の予防と同じで、水分と塩分を積極的に摂取する必要があります。
「脳梗塞の特徴的な症状は“片マヒ”です。脳梗塞は左右どちらかの脳血管に血栓が詰まる病気で、たとえば左脳の血管に血栓が詰まれば右半身にマヒが起こります。口や眉毛などが片側だけが歪む、片足や片腕だけ力が入らない、水を口に含んでもうまく飲み込めずにこぼれ落ちるといった症状が1つでもあれば脳梗塞が疑われます。
一方で、血栓が詰まる場所によっては、マヒがなくても見える範囲が狭くなる視野障害、物が二重に見える複視や周りが暗くなるといった視力障害が起こることもあります」(吉田院長)
脳梗塞が疑われる症状があれば、早急に119番に電話して、脳梗塞の疑いがある旨を伝え、体を動かさずに救急車の到着を待ってください。なお、夏の脳梗塞の予防は熱中症の予防と同じで、水分と塩分を積極的に摂取する必要があります。