患者さんがいきなり歯周病悪化を訴えるのはなぜ?
歯周病治療を受けて安定期に入っていた患者さんが、いきなり悪化を訴えて来院するケースがあります。果たしてその原因は何なのか?そんな疑問を抱いた森田教授は気象状況に着目した経緯を次のように話してくれました。
「昔から、“飛行機に乗ると気圧の影響で歯が痛くなる”とよく言われていました。科学的にはちゃんと証明できていないのですが、歯周病悪化の原因も気圧などの天気に関係しているのではないかと考え、調べることにしたのです」
「昔から、“飛行機に乗ると気圧の影響で歯が痛くなる”とよく言われていました。科学的にはちゃんと証明できていないのですが、歯周病悪化の原因も気圧などの天気に関係しているのではないかと考え、調べることにしたのです」
気圧や気温の急激な変化が影響
森田教授らは5年間かけて、大学病院の歯科で歯周病ケアを受けている患者約2万人を対象に調査をしました。その結果、歯ぐきの腫れや痛みなどの急性化が認められた患者が360人いました。そのうち、心身ストレス、外傷、不十分な口腔衛生、喫煙などの歯科関係の起因によらない患者が153人いました。
この原因がわからない急性化と、岡山地方の気象状況(風速、気圧、日照時間、雨量、温度、湿度)を照らし合わせて解析した結果、「気圧の急激な変化」と「気温の急激な変化」が、歯周病の急性化の引き金になっていることが判明したのです。
この原因がわからない急性化と、岡山地方の気象状況(風速、気圧、日照時間、雨量、温度、湿度)を照らし合わせて解析した結果、「気圧の急激な変化」と「気温の急激な変化」が、歯周病の急性化の引き金になっていることが判明したのです。
低気圧が通過してから1~3日後が要注意
「調査の結果、春先に気温が急降下したときや、台風などの通過で気圧が変化したときなどに、歯周病が悪化する傾向がありました。今の時期で言えば、梅雨前線の通過後が要注意です。メカニズムはまだ不明ですが、気象変化によって生態の恒常性のバランスが崩れ、免疫力が低下することが要因と推測できます」と森田教授は解説します。
歯周病は、細菌の感染によって発症します。歯周病菌が歯の周囲組織に炎症を起こすのが歯周病の始まりです。
「歯周病の急性化が起こるのは、気象変化があってから1~3日後であることもわかりました。この時間差は、歯周病菌などの菌に対する免疫反応を引き起こすのに2~72時間とされおり、歯周病菌が歯周ポケットに侵入してから増殖して炎症を起こすまでの時間だと考えられます」(森田教授)
歯周病は、細菌の感染によって発症します。歯周病菌が歯の周囲組織に炎症を起こすのが歯周病の始まりです。
「歯周病の急性化が起こるのは、気象変化があってから1~3日後であることもわかりました。この時間差は、歯周病菌などの菌に対する免疫反応を引き起こすのに2~72時間とされおり、歯周病菌が歯周ポケットに侵入してから増殖して炎症を起こすまでの時間だと考えられます」(森田教授)
お天気を気にかけて早めの予防措置を
天気によって生じたり悪化する慢性の痛み(片頭痛や肩こり、頸椎症、関節症、腰痛など)は「天気痛」として注目されていますが、歯周病においても気象状況が悪化させる一要因となっているのです。
対策として、森田教授は「日頃の適切な歯磨きによって、プラーク(歯垢)や歯石の除去に努めてください。また、気象状況を気にかけて、気圧や気温の変化が起きそうだと予測される時期には、洗口剤の使用や歯科衛生士による口腔ケアなど、早めの予防措置を心がけましょう」と呼びかけています。
対策として、森田教授は「日頃の適切な歯磨きによって、プラーク(歯垢)や歯石の除去に努めてください。また、気象状況を気にかけて、気圧や気温の変化が起きそうだと予測される時期には、洗口剤の使用や歯科衛生士による口腔ケアなど、早めの予防措置を心がけましょう」と呼びかけています。