高温環境で歩行実験
東京福祉大学の澤田晋一教授(健康科学)は、高温環境で行われた2つの実験を紹介しています。1つは、24人の被験者を対象に、高温環境下(気温49℃、湿度20%)で時速5kmの行進を1日100分間、7日間連続で行ったところ、初日は全員が行進を最後まで完遂できませんでしたが、2日目から完遂する者が徐々に増加して、7日目には1人を除く全員が完遂可能になったというのです。
もう1つの実験は、気温50.6℃という高温環境下で毎日1時間歩行(10分間の時速4kmのトレッドミル歩行を2分間の休みを入れて5回繰り返す)を行いました。最初の2、3日は体温や心拍数が大幅に増加しましたが、暑さに慣れてくると徐々に発汗量が増え、心拍数の増加が抑えられ、深部体温も上昇しにくくなり、1週間ほどで暑さによる不快感が減り、心理的な負担が軽くなったというのです。
もう1つの実験は、気温50.6℃という高温環境下で毎日1時間歩行(10分間の時速4kmのトレッドミル歩行を2分間の休みを入れて5回繰り返す)を行いました。最初の2、3日は体温や心拍数が大幅に増加しましたが、暑さに慣れてくると徐々に発汗量が増え、心拍数の増加が抑えられ、深部体温も上昇しにくくなり、1週間ほどで暑さによる不快感が減り、心理的な負担が軽くなったというのです。
暑くなって2、3日までが危険
これら2つの実験から分かることは、暑くなって2、3日までは生理的にも心理的にも負担が極めて大きく、この時期に運動や疲れる作業を無理して行うと熱中症の危険が大きくなることです。実際、熱中症で死亡する事故も作業開始3日以内に多発していますが、その後は徐々に減少しています。
2つの実験から分かったもう一つのことは、人は1週間あれば暑熱順化できるということです。暑熱順化のポイントは、汗をかける体になることです。汗をかけば汗が蒸発するときに体から気化熱を奪い、上昇した体温を下げてくれるので、熱中症を防いでくれます。
2つの実験から分かったもう一つのことは、人は1週間あれば暑熱順化できるということです。暑熱順化のポイントは、汗をかける体になることです。汗をかけば汗が蒸発するときに体から気化熱を奪い、上昇した体温を下げてくれるので、熱中症を防いでくれます。
ポイントは汗をかける体
汗をかくには実験で行ったようにジョギングをしたり速足でウォーキングすることです。最初はつらいかもしれませんが、1週間続ければ楽にこなせるようになります。
運動が苦手という人は、湯船に浸かったり、サウナに入って汗をかいてください。運動をしなくても湯船やサウナで汗腺を活性化すれば汗をかける体になり、熱中症を予防できるのです。本格的な夏を迎える前に暑さに体をならす暑熱順化をしてはどうでしょうか。
運動が苦手という人は、湯船に浸かったり、サウナに入って汗をかいてください。運動をしなくても湯船やサウナで汗腺を活性化すれば汗をかける体になり、熱中症を予防できるのです。本格的な夏を迎える前に暑さに体をならす暑熱順化をしてはどうでしょうか。
参考資料など
『熱中症の現状と予防』(澤田晋一編著、杏林書院)