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晴れた日の新幹線!! 富士山の車窓スポット5選

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2019/05/06 06:23 ウェザーニュース

1日最大45万人が利用する日本の大動脈、東海道新幹線。新幹線にはビジネス路線というイメージがありますが、実は山あり、湖ありと多彩な車窓風景を楽しめる路線でもあります。中でも、見逃せないのが富士山!
そこで、東海道新幹線から見える富士山のビュースポットを5つご紹介します。

〔1〕大田区馬込付近(品川〜新横浜間)

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例年、富士山は連休が明けると空気が湿潤になり見えないことが多い
品川駅を発車した下り新幹線は、山手線などの在来線をまたいで高架線に上がります。ここで早くも、右手前方に富士山がちらりと顔を出します。

東京・神奈川の街の向こう、丹沢越しに見える美しい富士山。90km以上距離があるので、気温や湿度が上がると霞んでしまいますが、晴れた日の気温が下がった朝なら見えることがあります。

〔2〕平塚市相模平野付近(新横浜〜小田原間)

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新横浜駅発車から8分後に注目!!
意外に富士山がよく見えるのが、新横浜駅発車から約8分後の神奈川県平塚市内。相模川が作った沖積平野の向こうに丹沢山地の大山がよく見え、その左に富士山が姿を現します。

手前にある台地状の山は標高500mほど。丹沢山地と箱根山系の1000m級の山地の間から見える形となり、意外なほどきれいに見通せます。

〔3〕富士市(三島〜新富士間)

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たった1分間の“富士山劇場”
東海道新幹線のハイライトともいえるのが、三島駅通過から3分ほどで現れるこの区間。手前の愛鷹連山が右に去り、その陰から富士山がするすると姿を現します。その姿は、まるで舞台の定式幕が開いて現れる歌舞伎役者のよう。

下り列車の場合、直前まで茶畑に視界を遮られているので、その登場シーンは劇的。すぐに電線や工場群が現れるので、すっきり見通せる時間は1分もありません。

麓まで、完全な姿の富士山を見られるのはここだけで、よく見える日は車掌さんの案内放送が入ることもあります。まごまごしていると、製紙工場をはじめとする富士市の工場群が現れてしまうので、写真を撮りたい人は三島駅通過/発車と同時に準備すると良いでしょう。

なお、これからの季節は、気温が上がると水蒸気で霞んでしまうことも多いので、朝早い時間帯がオススメです。

上り列車なら、撮影地としても有名な富士川橋梁からが富士山ビューのハイライト。こちら側には工場が多く、富士山の麓が産業都市として発展したことがわかります。

〔4〕幸せの左富士(静岡〜掛川間)

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江戸時代から、浮世絵にも描かれた「左富士」
新幹線から見て山側にある富士山は、通常2列席のE席側に見えますが、1ヵ所だけ、3列席のA席側に見える場所があります。

それは、静岡駅を出てすぐ、安倍川を渡ったところからの約40秒間。ここを過ぎると絶対にA席側からは見えません。上り列車なら、掛川駅を通過してから約8分後、日本坂トンネルなど3つのトンネルを抜けて東名高速道路をくぐった地点からの約40秒間です。

ここでは、約2kmにわたって線路が南北に走っており、A席側の東京寄りに富士山が現れます。ただし、下り列車からでは振り返る形になるうえ、約60km離れているため、滅多に見えません。

そのため、運良く見えたら幸運が訪れる「幸せの左富士」とも呼ばれています。上り列車からなら、A席から前方に見えるので、多少見つけやすくなります。

〔5〕浜名湖付近(浜松〜豊橋間)

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ボートレース浜名湖付近からちらりと見えた富士山
左富士より西は、牧之原台地や南アルプスに遮られ、なかなか富士山は見えません。しかし、運が良ければ浜名湖付近から、湖越しに富士山をちらりと見ることができます。

春から夏にかけてはほとんど霞んでしまい、極めて難易度が高いですが、運試しをしてみてはいかがですか。

ちなみに、東海道新幹線から富士山が見える西限は愛知県豊橋市と言われています。

富士山に限らず、車窓風景がよく見える条件は、太陽が高い位置にあり、気温と湿度が低く、スモッグが少ないこと。これから夏に向かうと、どんどん気温が上がり、富士山が見える確率は下がります。

大型連休中は、沿線の工場の稼働率が下がり、自動車も一部の高速道路を除いて減るので、空気が澄んで車窓風景がよく見える確率が上がります。

特に、太陽が上がりつつも気温はまだ低い、朝7〜8時台が狙い目。連休のお出かけは、ちょっと早起きをして出かけてみてはいかがですか。

参考資料など

文・写真/栗原景(くりはら・かげり)
1971年東京都生まれ。旅と鉄道、韓国をテーマとするフォトライター。主な著書に『東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!』(東洋経済新報社)、『テツ語辞典』(誠文堂新光社/共著)など。

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