偏西風に運ばれて来る
黄砂とは、中国内陸部やモンゴルの砂漠や乾燥地帯で、強い風や嵐で巻き上げられた砂が、偏西風にのって日本まで飛来するものです。車や洗濯物が汚れたり、視界が悪くなるなど、私たちの生活に影響を及ぼす身近な問題でもあります。
「私が研究をしていた鳥取県米子市では、大山(だいせん)のかすみ具合を、黄砂や大気汚染の飛来状況の目安にしていました。
健康への影響としては、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などが悪化するだけでなく、健康な人でも症状が出ていました。
鳥取県米子市で健康な人を対象に行った日記形式の自覚症状の調査でも、咳や痰が出たり、目や肌、耳の穴がかゆくなるという訴えが多くありました。なかでも、肌のかゆみや肌荒れなどの症状は、黄砂の飛来状況と一致していたのです」(大西先生)
健康への影響としては、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などが悪化するだけでなく、健康な人でも症状が出ていました。
鳥取県米子市で健康な人を対象に行った日記形式の自覚症状の調査でも、咳や痰が出たり、目や肌、耳の穴がかゆくなるという訴えが多くありました。なかでも、肌のかゆみや肌荒れなどの症状は、黄砂の飛来状況と一致していたのです」(大西先生)
黄砂は多種多様
なぜ、黄砂で肌に症状が出るのでしょうか。
「砂には、微生物やその死骸、金属、化学物質など、多くのアレルギーを引き起こすものが含まれています。
大陸で黄砂が発生すると、だいたい48時間ぐらいかけて日本に飛来しますが、その間にさまざまなものを巻き込んでいくのです。気流によっては工業地帯や都市部の上空を通る過程で有害物質が付着することもあります。
前述の調査でパッチテストを行ったところ、肌の症状を訴えた人の約90%がニッケルで陽性となりました(肌の症状を訴えなかった人では約18%)。私は、『黄砂アレルギー』と呼ばれる症状には、金属アレルギーも関係しているのではないかと考えています。
また、黄砂の粒子は4µm(マイクロメートル、1μm=1/1000mm)程度が多いのですが、PM2.5などの非常に微小な粒子から10〜12 µmの大きなものまで含まれます。大きなものが多ければ、ザラザラして肌への物理的刺激となります」(大西先生)
「砂には、微生物やその死骸、金属、化学物質など、多くのアレルギーを引き起こすものが含まれています。
大陸で黄砂が発生すると、だいたい48時間ぐらいかけて日本に飛来しますが、その間にさまざまなものを巻き込んでいくのです。気流によっては工業地帯や都市部の上空を通る過程で有害物質が付着することもあります。
前述の調査でパッチテストを行ったところ、肌の症状を訴えた人の約90%がニッケルで陽性となりました(肌の症状を訴えなかった人では約18%)。私は、『黄砂アレルギー』と呼ばれる症状には、金属アレルギーも関係しているのではないかと考えています。
また、黄砂の粒子は4µm(マイクロメートル、1μm=1/1000mm)程度が多いのですが、PM2.5などの非常に微小な粒子から10〜12 µmの大きなものまで含まれます。大きなものが多ければ、ザラザラして肌への物理的刺激となります」(大西先生)
不調の原因が黄砂にあると気づいていない人も多いといいます。
「黄砂飛来の多い3〜5月は、症状の似ている花粉飛散の時期と重なります。微小な粒子のみのダスト(PM2.5)の場合あまり視界が悪くならないため、黄砂・大気汚染物質と気づかずに症状が出ることも考えられます」(大西先生)
「黄砂飛来の多い3〜5月は、症状の似ている花粉飛散の時期と重なります。微小な粒子のみのダスト(PM2.5)の場合あまり視界が悪くならないため、黄砂・大気汚染物質と気づかずに症状が出ることも考えられます」(大西先生)
黄砂から身を守るには
「あまり神経質になり過ぎる必要はありませんが、黄砂日や空がかすむ日に不調を感じる人は、対策を取るといいでしょう。たとえば黄砂飛来が予測される日は、外にふとんや洗濯物を干さない、空気清浄機を使う、外出時はマスクをする、帰宅したらお風呂に入るなど、一般的な花粉症対策と同じです。
マスクは自分の顔にフィットするものを選び、隙間ができないよう装着します。隙間があると、いくらフィルターの性能が良くてもかえって隙間からの流入が多くなります」(大西先生)
最近の報告では、黄砂に微小なマイクロプラスチックが混じることもあるようです。大気の様子や気象情報などを活用して対処しましょう。
マスクは自分の顔にフィットするものを選び、隙間ができないよう装着します。隙間があると、いくらフィルターの性能が良くてもかえって隙間からの流入が多くなります」(大西先生)
最近の報告では、黄砂に微小なマイクロプラスチックが混じることもあるようです。大気の様子や気象情報などを活用して対処しましょう。