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山の紫外線、1000m登ると10〜12%増 富士山山頂は地上の4割増

2019/04/26 11:12 ウェザーニュース

紫外線が強まる季節になってきました。この10連休で山に登る人も多いでしょうが、標高が上がると紫外線はさらに威力を増すのです。山に登るときは、どんな紫外線対策をしたらよいのでしょうか。

5月の紫外線はピーク時の74%

気象庁によると月別の紫外線量(UVインデックス)は12月が1.7で底になり、1月以降は徐々に上昇し、5月が5.4になります。これはピーク時の7月(7.3)の74%になります(東京・2018年)。
太陽光の種類。数字は波長で単位はnm:ナノメートル(気象庁ホームページより)
ちなみに、紫外線は波長によってUV-A(315~400nm)、UV-B(280~315nm)、UV-C(100~280nm)の3つに分けられます。UVインデックスは人体に及ぼす影響をはかるため、このうち250~400nmの紫外線を波長別に積分した数値です。皮膚に赤い日焼けを生じさせるため紅斑紫外線量とも呼ばれ、国際的な指標に用いられています。

標高が高くなるほど紫外線が強くなる

紫外線は上空から地上に到達する間に、空気分子やエアロゾルにより散乱されて弱まります。そのため標高が高くなると大気の量が少なくなるので紫外線が強くなります。

具体的には高度1000mで紫外線が10〜12%強くなります(『紫外線・環境保護マニュアル2015』より)。つまり、富士山(標高3776m)の山頂の紫外線は平地よりも約40%強いことになります。標高が高い山に行くときは、どんな紫外線対策が必要なのでしょうか。

帽子やサングラスは必須

環境省は『紫外線・環境保健マニュアル2015』で、紫外線の浴びすぎを防ぐために次の対策を推奨しています。

(1)紫外線の強い時間帯を避ける
(2)日陰を利用する
(3)日傘を使う、帽子をかぶる
(4)衣服で覆う
(5)サングラスをかける
(6)日焼け止めを上手に使う

この6項目のうち、「紫外線の強い時間帯を避ける」と「日陰を利用する」は日常生活で気を付けたいことですが、山登りでは難しいので、他の4項目について解説します。

【帽子をかぶる】
帽子は直射日光をさえぎってくれ、幅の広いつばのある帽子は効果的。ただし、大気中で散乱している紫外線まで防ぐことはできない。

【衣服で覆う】
袖が長く襟付きのシャツのように体を覆う部分の多い衣服のほうが首や腕、肩を紫外線から守ってくれる。皮膚に到達する紫外線を減らすには、しっかりした縫い目や編目を持つ生地を選ぶこと。通気性や吸収性が悪いと暑い時期には熱中症の心配があるので、戸外で心地よく着ていられるものを選ぶ。

【サングラスをかける】
サングラスや紫外線カット眼鏡を適切に使用すると目への被ばくを90%カットすることができる。しかし、目に照射される太陽光は正面方向からの光だけでなく、上方、側方、下方、後方からの光も直接・間接に目を照射している。強い太陽光の下で目を守るためには、ゴーグルタイプとまではいかなくても、顔にフィットした、ある程度の大きさを持つ眼鏡をかけ、帽子をかぶるとよい。

なお、色の濃いサングラスをかけると、目に入る光の量が少なくなり、瞳孔が大きく開くことになります。そのため、かえってたくさんの紫外線が目の中に侵入してくるので注意する。

【日焼け止めを上手に使う】
日焼け止めには、液状、クリーム、乳液、スプレー、シート状など多くのタイプがあるが、配合されている紫外線防止剤は、紫外線散乱剤(無機系素材)と紫外線吸収剤(有機系素材)の2つに分けられる。紫外線吸収剤は白くならないが、まれにアレルギーを起こす人がいる。

一方、紫外線散乱剤は少し白くなるが、アレルギーを起こすことがほとんどない。子ども用として売られているものや皮膚の敏感な人用の日焼け止めは紫外線散乱剤のみを含んでいるものが多く、「紫外線吸収剤無配合」とか「紫外線吸収剤フリー」といった表示がされている。

よく晴れて空気が澄んだ山ほど日焼けをするのです。紫外線の浴びすぎには注意して、山を楽しんでください。