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「宵のうち」という時間帯を知っていますか?

2019/04/10 12:15 ウェザーニュース

天気予報で「宵のうちまで時々雨が降るでしょう」というフレーズを聞いたことはありませんか。

これはいったい何時ころを指しているんでしょうか?

気象庁が使っていた「宵のうち」

実はこの「宵のうち」、今は使われていません。

2007年の予報用語改正で、「宵のうち」は今後使用せず、代わりに「夜のはじめ頃」を使うことにしました。

改正理由は「『宵のうち』はもっと遅い時間帯を含んでいると理解されているため、より適切な表現に」と発表しています。

夜更かしが「宵」の時間帯を変えた?

気象庁は、「宵のうち」とは18時頃から21時頃の時間帯としていたのに、もっと遅い22時とか23時まで「宵」と思っている人がいるので、「夜のはじめ頃」(18〜21時頃)に用語を変えたのです。

実際、夜10時を過ぎているのに、「まだ宵のうちだ。もう1軒付き合え」と言う夜更かし人間は少なくありません。夜更かしが宵の時間帯を変えたのです。

「宵」の時間帯は季節で違う

それでは、「宵」は気象庁が定めるように18〜21時でよいのでしょうか。辞書を見ると、「宵」は「日が暮れてまだ間もない頃」「夜がまだそれほど更けていない頃」「日が暮れて間もないとき」などと書いてあります。

「日暮れ」が一つの基準になっているなら、「宵」の時間帯は季節によって違うはずです。「日が暮れて間もないとき」は日没後1時間ほど。日が短い冬なら17時頃、日が長い夏なら19時30分頃、春(4月)なら18時30分頃となります。かつて気象庁が使っていた「宵のうち」の時間帯が18〜21時というのも、改正理由とは別の意味で無理があったようです。

春宵一刻値千金

ところで、「春夜」という漢詩に「春宵一刻値千金」という一節があります。

春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)とは、「春の宵(よい)は素晴らしく、そのひとときは千金にも値すると」いう意味です。

今はまさに「春宵一刻値千金」の季節。春の宵を存分に楽しんでください。