江戸染井村の植木職人がルーツ?
ではなぜ、ソメイヨシノはいっせいに散るのでしょうか? ソメイヨシノは、江戸時代後期に染井村(現在の東京都練馬区)の植木職人によってつくり出されたといわれています。しかし、ソメイヨシノ同士では交配できず、接ぎ木でしか殖やせません。そのため、ソメイヨシノは1本の原木から接ぎ木によって増えていった、同じ遺伝子を持つクローンなのです。
野生のヤマザクラのように、それぞれが異なる遺伝子であれば、個体によって開花のタイミングも異なりますが、ソメイヨシノはすべて同じ遺伝子を持っているクローンですから、その地域で気温の条件などが揃えば、いっせいに咲き始め、満開となり、散っていくのです。
野生のヤマザクラのように、それぞれが異なる遺伝子であれば、個体によって開花のタイミングも異なりますが、ソメイヨシノはすべて同じ遺伝子を持っているクローンですから、その地域で気温の条件などが揃えば、いっせいに咲き始め、満開となり、散っていくのです。
日本人は散り際にも惹かれる
こうして生まれたソメイヨシノは、育てやすいことや樹高もそれほど高くないこと、花がいっせいに咲くことから、花見に向いており、またいっせいに潔く散る様子が日本人の感性と合っていたため、全国に広がっていきました。いまや日本中の桜の約8割がソメイヨシノといわれています。
花がいっせいに散る「桜吹雪」も見逃せませんね。お濠や池の水面を桜の花びらが埋め尽くす「花筏(はないかだ)」もソメイヨシノならではの風物詩で、俳句の季語にもなっています。満開の頃とは別の美しさを魅せてくれる、散り際のソメイヨシノにも注目して、桜シーズンを満喫しましょう。
花がいっせいに散る「桜吹雪」も見逃せませんね。お濠や池の水面を桜の花びらが埋め尽くす「花筏(はないかだ)」もソメイヨシノならではの風物詩で、俳句の季語にもなっています。満開の頃とは別の美しさを魅せてくれる、散り際のソメイヨシノにも注目して、桜シーズンを満喫しましょう。
参考資料など
※開花から満開(花が80%以上が咲いた状態)までの日数が九州から関東までは約7日、北陸から北海道までが5日ほど。そして、満開から数日するといっせいに散り始めます。
『桜の科学』(勝木俊雄、ソフトバンククリエイティブ)
『桜の科学』(勝木俊雄、ソフトバンククリエイティブ)