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花粉症の薬で眠くなる人が7割 対処法は

2019/03/31 18:36 ウェザーニュース

花粉症の治療をしている人の中には、「薬を飲むと眠くなる」という人が少なくありません。ウェザーニュースが会員を対象に「花粉症の薬を飲んで眠くなった経験がありますか?」というアンケート調査を行いました(3月18〜19日実施、有効回答4,477人)。

結果は66%が「眠くなったことがある」と回答しました。「仕事中にうたた寝した」「車の運転ができなくなった」と深刻なようです。どう対処したらよいのでしょうか。

抗ヒスタミン薬が眠気を誘う

花粉症の薬はなぜ眠気を誘うのでしょうか。それには花粉症の仕組みを説明する必要があります。花粉などアレルギーの原因物質が体に入ってくると体の中で「ヒスタミン」という物質がつくられます。それが鼻などの粘膜にある「H1受容体」に結合すると、クシャミや鼻水、鼻詰まりといった症状を引き起こすのです。

「ヒスタミン」と「H1受容体」は鍵と鍵穴の関係といえますが、この鍵穴をふさいでヒスタミンを結合できなくすることでアレルギー症状を抑えるのが花粉症の治療薬、抗ヒスタミン薬です。

ところが、抗ヒスタミン薬が結合する「H1受容体」は鼻の粘膜だけでなく脳の中にもあります。脳内の「H1受容体」にヒスタミンが結合してもアレルギー症状が出ることはなく、逆に集中力や判断力が高まります。しかし、抗ヒスタミン薬を飲むとヒスタミンの働きが妨げられ、集中力が低下して眠気に誘われるのです。

眠気を抑えた第2世代の抗ヒスタミン薬

副作用の眠気を抑えた「第2世代」と呼ばれる抗ヒスタミン薬が1983年以降に登場しました。薬の成分が脳に回りにくいたため眠気が少ないのです。花粉症の治療を行っている、せたがや内科・神経内科クリニック(東京都世田谷区)の久手堅司院長が次のように言います。

「最近は眠気が少ない抗ヒスタミン薬が次々登場しています。空腹時に飲まないといけないビラノアという新薬は、眠気がより出にくいのと効果が強いので、患者さんからの評判も良いです。

他に私がよく処方するのは、ザイザル(寝る前)、クラリチン(1日1回)、アレグラ(1日2回)、アレロック(1日2回)と言われる薬です。第2世代ではザイザルの効果が最も強いですが、眠くなる可能性が高いため、基本的に夜寝る前の内服となっています。ただし個人差があって、この薬は眠くなるけれど、この薬なら大丈夫という人もいるので、様子を見て薬を変えることがあります」

新薬でも眠気はゼロではない

「しかし、抗ヒスタミン薬という薬の性質上、眠気をゼロにすることは難しいです。眠気のために車の運転や緻密な作業をするのに支障をきたすようであれば、抗ヒスタミン薬を服用できません。その代わりに、鼻づまりを改善する抗ロイコトリエン薬を飲んだり、症状が強いときだけ点眼薬や点鼻薬を使うことをお勧めします」と久手堅院長が付け加えます。

花粉症の症状は点眼薬や点鼻薬などでも軽減できます。眠気に悩んでいるなら、抗ヒスタミン薬をやめて、そうした薬を使ってもらうよう医師に相談してはどうでしょうか。

シーズン終了後に始める舌下免疫療法

抗ヒスタミン薬は花粉症の症状を抑えてくれますが、花粉症を治すわけではありません。そういう意味で「対症療法」と呼ばれますが、それに対して花粉症そのものを治してくれるのが「根治(こんち)療法」です。具体的には、スギ花粉のエキスを毎日摂取して花粉症体質を治す舌下(ぜっか)免疫療法があります。

スギ花粉が飛んでいる季節に始めることはできませんが、シーズンが終了する5月中旬以降に開始できます。3年は続ける必要がありますが、「舌下免疫療法を始めた翌年には症状が軽くなったという人が少なくありません」(久手堅院長)と言います。来春以降のために花粉症が根治するという舌下免疫療法を考えてはいかがでしょうか。

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