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春先は“隠れ貧血”に注意! 効果的な食材は?

2019/03/06 10:36 ウェザーニュース

東洋医学では、春は肝臓に注意を払うべきとされていますが、この肝臓には血液を蓄えておく役割があります。春は芽吹きの季節で体も冬から目覚めて活動的になり、その原動力として血液がたくさん必要になるので、貧血になりやすいのです。

国際中医薬膳師で源保堂鍼灸院の瀬戸佳子先生に、貧血の正しい知識を教えてもらいました。

もしかしてあなたも隠れ貧血?

貧血の症状は多岐にわたり、男女問わず貧血を自覚していない人が多いと先生は言います。

「貧血は東洋医学では『血虚(けっきょ)』と呼ばれ、多くの病理現象の原因とされています。具体的には疲れやすい、めまい、動悸、冷え性などの他、かすみ目、爪の劣化、白髪や脱毛、便秘、食欲不振、肌荒れといった症状なども貧血が一因となっています。さらに、抑うつ状態になる人も貧血であることが多く、物忘れや眠くなるなどの症状が出たら注意した方が良いでしょう」(瀬戸先生)

また、病的に甘いものを欲する場合も貧血の可能性が高いと言います。

「脳が栄養不足に陥っており、糖質を得ることで一時的な対処を試みているのです。さらに、女性は生理中や妊娠中だけでなく出産後も母乳等で血液が消費され、睡眠不足にもなるため貧血になり、抜け毛や鬱などの症状に悩まれる方が多くいます。この時期にしっかり食べ物で補っておかないと、造血作用が低下し、慢性的な貧血に進んでしまうので気を付けてください」(瀬戸先生)

貧血を助長する習慣

血液が消耗するのは寝不足、過労、激しい運動、頭脳労働、目を使う作業、心理的ストレスなどによる場合が多く、現代の働き方は貧血を招きやすい環境にあります。

「特に気を付けるべきは睡眠不足でしょう。寝る前のスマホいじりはブルーライトで眠りにくくなる上に、目への負担も増すので最悪です。

また、疲れやすいのは体力不足だと勘違いして、体が辛いのにマラソンや筋トレを始める人がいますが、スポーツ選手に貧血が多いように、過度な運動も血液の消耗につながります。特に寝る前に運動をしてしまうと興奮して、よく眠れない状態に陥ることもあるので気をつけてください」(瀬戸先生)

ほうれん草だけでは不十分?

貧血対策には、鉄分や造血に必要な成分を多く含む食品を取り入れる食習慣が大切です。ただし、誤った知識によって非効率的な食習慣となっている人も多いようです。

「ほうれん草や小松菜など植物性食品に含まれる鉄分は非ヘム鉄といい、鉄分が多くても吸収が非効率のためビタミンCなど吸収を促進する別の栄養素と一緒に摂る必要があります。逆にレバーや、赤身の肉・魚など動物性食品に含まれる鉄分はヘム鉄といい、非ヘム鉄と比べ5〜10倍の吸収率を持っていますので、まずはこちらを優先して摂取するようにしましょう。

消化吸収能力を高めるとトロロやオクラなどネバネバした食品、大根おろし、発酵食品なども一緒に摂るとよりいいでしょう。他にも造血作用を持つ骨つきの肉・魚、シラスなどの小魚、シシャモなどもオススメです」(瀬戸先生)

また、せっかく十分な食事を摂っていても血液の原料となる栄養を十分に吸収できなくなっている可能性もあります。

「夜遅い食事や冷たいもの、甘いもの、生ものの大量摂取などは胃腸を弱める可能性があるので、注意しましょう。貧血になると甘いものや氷などを食べたくなりますが、例えばチョコの代わりにコンビニで肉まんやフランクフルトなどタンパク質のものを食べるようにしてもらうだけで、貧血が解消された、甘いものへの執着が消えた、という患者さんも多くいます」(瀬戸先生)

気付かないうちに貧血になっている人は非常に多いと瀬戸先生は言います。今一度生活を見直してみてください。長年抱えていた不調が解消されるかもしれません。