末っ子に花粉症が少ない理由
『衛生仮説』を最初に唱えたのは、英国の疫学者のストラチャン(Strachan)です。彼が英国人約1万7000人を対象に花粉症の有無を調査したところ、兄弟姉妹の場合、長男長女は花粉症の割合が多いのに、末っ子は花粉症の割合が少なかったのです。
その理由として、末っ子は兄や姉から細菌やウイルスをもらうが、長男長女はそうしたことがない清潔な環境で育ったからだとストラチャンは考えました。そして彼は「衛生的であることがアレルギーの発症原因になる」という衛生仮説(Hygiene Hypothesis)を1989年に提唱しました。
エンドトキシンが花粉症を抑える
その後、英国で牧畜農家など環境中のエンドトキシン(非衛生環境の指標として測定される細菌由来の物質)の量が多い環境で育った人は、花粉症などのアレルギー疾患が最大で5分の1程度に抑制されるという調査結果が報告され、衛生仮説はアレルギーの原因論として認知されました。
その後のアレルギー学者の研究で、アレルギーのうち食物アレルギーやアトピー性皮膚炎は衛生仮説があてはまらないことが指摘されましたが、花粉症や喘息は衛生仮説で説明できることがわかりました。
その後のアレルギー学者の研究で、アレルギーのうち食物アレルギーやアトピー性皮膚炎は衛生仮説があてはまらないことが指摘されましたが、花粉症や喘息は衛生仮説で説明できることがわかりました。
突出して有病率が高い日本の花粉症
日本は花粉症の有病率は約4割といいましたが、海外はどうでしょうか。データは乏しいのですが、米国の有病率は5〜10%で、ほとんどがブタクサの花粉とされます。カナダはカバノキ科の花粉症が多く20%弱。トルコやオーストラリアが10〜20%と推定されています。
いずれも日本より低く、日本の有病率が突出しているのが目立ちます。衛生仮説によると、乳幼児期に非衛生的な環境で育った子がアレルギー発症を免れ、一方で衛生的な環境で育った子はアレルギー体質になるというのです。
衛生仮説を臨床的に応用すると、子育てで清潔にこだわりすぎないとか、アレルギー体質の成人は害のない程度に非衛生的な環境の生活で体質を改善するといったことが考えられます。
乳幼児期の衛生環境が免疫系の発達へ大きく関わっているという衛生仮説ですが、定説となる日がくるのでしょうか。今後の研究の進展に期待したいところです。
〔リンク〕天気予報・週間予報
〔リンク〕この先の天候 長期見解
〔リンク〕ウェザーニュース 花粉情報
いずれも日本より低く、日本の有病率が突出しているのが目立ちます。衛生仮説によると、乳幼児期に非衛生的な環境で育った子がアレルギー発症を免れ、一方で衛生的な環境で育った子はアレルギー体質になるというのです。
衛生仮説を臨床的に応用すると、子育てで清潔にこだわりすぎないとか、アレルギー体質の成人は害のない程度に非衛生的な環境の生活で体質を改善するといったことが考えられます。
乳幼児期の衛生環境が免疫系の発達へ大きく関わっているという衛生仮説ですが、定説となる日がくるのでしょうか。今後の研究の進展に期待したいところです。
〔リンク〕天気予報・週間予報
〔リンク〕この先の天候 長期見解
〔リンク〕ウェザーニュース 花粉情報
参考資料など
「『衛生仮説』アレルギー疾患の増加は環境が衛生的になったせいなのか?」(http://www.nipponclub.co.uk/clinic/information/pdf/nipponclub201412.pdf#search=%27衛生仮説%27)、「アレルギーと衛生仮説」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/44/1/44_1_21/_pdf)、「衛生仮説とアレルギー疾患の発症」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/59/7/59_KJ00006537606/_pdf)