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お湯が少ないだけでは効果なし? 正しい"半身浴"とは

2019/02/06 16:35 ウェザーニュース

浴槽にお湯を少なめにはり、上半身はお湯から出したまま、本を読んだり音楽を楽しんだりと、映画のワンシーンなどで見かける入浴スタイルがあります。いわゆる「半身浴」です。

半身浴は「(1)体に対する負荷が少なく、(2)足のむくみを緩和し、(3)汗がよく出る入浴方法」と期待している人もいると思いますが、入り方によっては十分な効果が出ないばかりか、逆効果になりかねないのです。

(1)体への負荷は湯温次第

「もともと半身浴は、心臓が弱い方でも長くお風呂に入れる方法として注目された入浴法なので、半身浴が美容に直結するというのは勘違いです」と語るのは、(株)バスクリン広報責任者でスポーツ健康科学の博士号を持つ石川泰弘さんです。

「まず、体への負担ですが、お湯に浸かっていない上半身には水圧がかからないので、肺や心臓への水圧という負荷はありません。しかし、お湯の温度によっては全身浴も半身浴も同じように心拍数が上がってしまいます」(石川さん)

「たとえば39℃なら全身浴も半身浴もそれほど心拍数は上がらないのですが、43℃のお湯では半身浴も全身浴と同じように心拍数が上がり、体への負担も大きくなります」(石川さん)

(2)足のむくみ解消は全身浴でもできる

「足のむくみは、血液循環により解消されます。ある程度長くお湯に浸かって、水圧を受けることが大切です。つまり、『半身浴』『全身浴』関わらず、水圧の効果が十分得られるまでお湯に浸かっていることが大切なのです。半身浴でも短時間では、血液もあまり循環しません」(石川さん)

(3)たくさん汗をかくなら全身浴

「汗は、体の深い部分が暑いと感じると、体温を下げるために分泌されるものです。半身浴は上半身がお湯に浸かっていない分、全身浴よりも体を温める時間がかかります。つまり、たくさん汗をかくのは全身浴のほうが勝っているのです」(石川さん)

これが正しい半身浴!

石川さんによると、正しい半身浴は、お湯の温度は37〜39℃で、みぞおちのあたりまでお湯に浸かり、30〜40分温まります。

「『半身浴』の一番のメリットは、やはり肺や心臓への水圧という負荷が少ないことです。肺や心臓が弱い方にはオススメです。

『むくみの緩和』には血液循環を盛んにさせるために、ある程度長くお湯に浸かっていることが必要となります。暑い夏などは同じ湯温でも、湯温を熱く感じやすい 『全身浴』より、熱く感じにくい『半身浴』の方が長い時間入浴できますので有効です。

また、寒い時季の『半身浴』は上半身が冷えて風邪の原因にもなるので、乾いたタオルなどを肩にかけて保温しましょう。最後に、飲酒しながらの入浴は、心臓に負担をかけるので、厳禁です」(石川さん)

入浴は、体を温めて血液の循環を良くするのが一番の目的です。「半身浴は美容に良いから長時間頑張る」などと無理をせずに、自分の体調と相談しながら、リラックスできる環境で楽しむのが大切です。「半身浴」の正しい情報を知り、効果的に取り組みましょう。

参考資料など

はぴばす(https://www.bathclin.co.jp/happybath/)