「水だけ」の方が風邪をひきにくい
今の時期は風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどさまざまな感染症が流行しているので、他の季節に比べたら普段からうがい薬を使っている人の割合が多くなっているかもしれませんね。ただし、予防としてのうがいでは、実は水うがいをした方が風邪に罹(かか)りにくいという研究結果があるのです。
京都大学健康科学センターの川村孝教授(公衆衛生学)らが2005年に発表した論文には、風邪とうがいの関係に関する実験結果が報告されています。この実験は、18-65歳の健康な男女をうがいの仕方によって3つのグループに分け、60日間観察したものです。
図を見ると、実験開始から5日ほどで差が出始め、60日経過するまで、5~10%ほど差がついていることが見て取れます。つまり、うがい薬を使うより水だけでうがいをしたほうが風邪に罹りにくいというのです。
このような結果になった根拠として、高い殺菌効果と引き換えにノドの粘膜の細胞を傷つけてしまっているのではないかと推測されています。
このような結果になった根拠として、高い殺菌効果と引き換えにノドの粘膜の細胞を傷つけてしまっているのではないかと推測されています。
うがい薬の長期使用はよくない!?
さらに、東京医科歯科大学名誉教授の寺岡加代先生によると、うがい薬を漫然と使い続けることは、むしろよくない可能性があるといいます。
うがい薬には大きく分けてポビドンヨード系と塩化ベンゼトニウム系の2種類があります。ポビドンヨード系はウイルスに対する抗菌効果が高く、咽頭から口腔内までのエリアで効果を発揮します。一方、塩化ベンゼトニウム系は芽胞のない細菌やカビ類への抗菌効果が期待され、口腔内の消毒や歯を抜いた後の感染予防に使用されています。
しかし、抗菌成分を持つうがい薬を、長く漫然と使っていると菌交代現象という問題が起きると寺岡先生はいいます。菌交代現象とは、抗菌成分の効果が持続した結果、本来存在するべき正常な菌が減少し、抗菌成分に対して抗体を持つ菌が増殖することをいいます。そのため、寺岡先生は普段は水でうがいをした方がいいと言います。
うがい薬には大きく分けてポビドンヨード系と塩化ベンゼトニウム系の2種類があります。ポビドンヨード系はウイルスに対する抗菌効果が高く、咽頭から口腔内までのエリアで効果を発揮します。一方、塩化ベンゼトニウム系は芽胞のない細菌やカビ類への抗菌効果が期待され、口腔内の消毒や歯を抜いた後の感染予防に使用されています。
しかし、抗菌成分を持つうがい薬を、長く漫然と使っていると菌交代現象という問題が起きると寺岡先生はいいます。菌交代現象とは、抗菌成分の効果が持続した結果、本来存在するべき正常な菌が減少し、抗菌成分に対して抗体を持つ菌が増殖することをいいます。そのため、寺岡先生は普段は水でうがいをした方がいいと言います。
いつうがい薬を使うべきか
うがい薬を使用すべき時と水で良い時は、次のように分けられます。
普段の外出後や掃除の後などは水うがいでよいのですが、すでに風邪を引いていたりノドが痛むなど、体調が良くないときはうがい薬を使うのです。風邪を発症し、医師から処方が出ているのであれば風邪が治るまではしっかりとうがい薬を使用するようにしましょう。
また、自分の周辺で感染症が流行している時は、殺菌力が強いうがい薬でうがいをするのが効果的とされています。漫然的に使い続けるのではなく、期間を決めて使用するのがいいでしょう。
うがいは、手洗いと同様に風邪など感染症対策に役立ちます。正しいやり方を実践して、今年の冬も健康に過ごしましょう。
また、自分の周辺で感染症が流行している時は、殺菌力が強いうがい薬でうがいをするのが効果的とされています。漫然的に使い続けるのではなく、期間を決めて使用するのがいいでしょう。
うがいは、手洗いと同様に風邪など感染症対策に役立ちます。正しいやり方を実践して、今年の冬も健康に過ごしましょう。
参考資料など
Satomura K, Kitamura T, Kawamura T, et al. “Prevention of upper respiratory tract infections by gargling: a randomized trial,” American Journal of Preventive Medicine, 2005; 29: 302-307./寺岡加代、池田志斈「うがい薬の使い分け」(『ドクターサロン』、62巻2月号、2018年)/株式会社明治HP「正しいうがい・手洗い」