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三浦雄一郎の軌跡 エベレスト最高齢登頂記録を3度も更新

2018/12/28 15:59 ウェザーニュース

2019年1月、86歳で南米大陸最高峰のアコンカグア(アルゼンチン、標高6962m)登頂とスキー滑降を目指す三浦雄一郎さん。どのような人生を歩んできたのでしょうか。

7大陸最高峰滑走をなしとげる

三浦雄一郎さんが初めてスキーに接したのは小学2年生。地元・弘前市の弘前城公園の坂をスキーで滑ったといいます。その後、本格的にスキーを始め、高校在学時には青森県高等学校スキー大会で3年連続個人優勝、全日本スキー選手権大会の滑降競技で入賞するなど実績を重ねました。

大学もスキーができる北海道大学獣医学部に進学。卒業後は北大農事試験場で獣医として働くも、26歳で辞任してスキー学校を開設しました。1962年、スタートしたばかりの世界プロスキー選手権に参加し、世界ランク8位入賞。1964年にはイタリアで開催されたキロメーターランセ(速さを競う競技)で、時速172.084kmという当時の世界新記録を樹立しました。

1966年、富士山での直滑降を成功させたのを皮切りに、7大陸最高峰滑降に成功しました。

◆1966年
オーストラリア大陸最高峰 コジアスコ/2228m
◆1967年
北米大陸最高峰 マッキンリー(デナリ)/6194m
◆1970年
アジア大陸最高峰 エベレスト/8848m
◆1981年
アフリカ大陸最高峰 キリマンジャロ/5895m
◆1983年
南極大陸最高峰 ビンソン・マシッフ/4892m
◆1985年
ヨーロッパ大陸最高峰 エルブルース/5642m
◆1985年
南米大陸最高峰 アコンカグア/6962m

なお、エベレストからの滑降を記録した映像は『The Man Who Skied Down Everest』(『エベレストから滑った男』)というタイトルでドキュメント映画化され、アカデミー賞の記録映画部門で賞をとりました。

エベレスト最高齢登頂を3回更新

7大陸最高峰滑降を成功後、目標を失った三浦さんは不摂生な生活により、身長164cmに対し体重85kg超、血圧は200近く、不整脈が出る不健康な体になりました。しかし、99歳でモンブラン氷河からの滑降をなしとげた父の三浦敬三さんや、オリンピック(モーグル)に出場した次男の豪太さんから刺激を受け、65歳のときに「70歳でエベレスト登頂を果たす」という目標を立てました。体を鍛えなおすために、外出時は両足に重りをつけ、常に20kg近いリュックを背負うというトレーニングを行って体力を回復させたのです。

2003年、70歳でエベレスト登頂を果たすと、2008年に75歳で再登頂、2013年に80歳で再々登頂し、エベレスト最高齢登頂記録を3度にわたって更新。3度目の登頂成功をきっかけに、日本政府により「三浦雄一郎記念日本冒険家大賞」が創設されました。

そして2019年1月、52歳のときに成功させたアコンカグアからのスキー滑降に34年ぶりに挑戦します。三浦さんが語る言葉の中に、こんな一節があります。

「『無理をしないでください』『生きて帰ってきてください』みんなが僕に言いました。『ありがとうございます』と返事をしながら、僕は心の中で別の返事をしていた。『無理をしなければ行けない。死ぬ気でチャレンジしなければ生きては帰ってこられない。だから僕は人生最大の無理をしますよ』と」