facebook line twitter mail

冬の通勤電車は「着膨れラッシュ」に注意!

2019/01/15 06:46 ウェザーニュース

世界屈指と言われる日本の通勤ラッシュ。激しい車内混雑に加え、列車が遅れるとより一層ストレスがたまります。

「特に冬季は、利用者が厚着になることから、朝夕の通勤・通学ラッシュの時間帯に車内の混雑がより激しくなる『着膨れラッシュ』が起こります」と、鉄道ライターの川崎俊哉さんが指摘します。

通勤電車の混雑率

鉄道の混雑状況は、混雑率で表されます。通勤型車両の場合、座席数+立席が定員で、これに対して実際に乗車した人数の数値を百分率で示したものが混雑率になります。

「混雑率150~200%を示す路線が大多数の首都圏の主要路線。たとえばJR東日本の主力車両E231系(中央・総武緩行線、常磐線などを走行)の定員は座席54席、立席108名分の計162名です(中間車の場合)。この車両の混雑が200%というと、54人が着席、270人が立っていることになります。

ちなみに、首都圏の通勤路線で最も混雑している東京メトロ東西線・木場~門前仲町間の199%(2017年度の調査結果)です。かつては300%を超える路線もありましたが、近年は鉄道会社の輸送改善が進み、混雑率は年々低下する傾向にあります」(川崎さん)

冬は混雑率以上に“すし詰め”?

なお、立ち席は1人当たりの占める広さは0.14平方メートルと定められていますので(鉄道に関する技術上の基準を定める省令)、鉄道会社や車両メーカーの裁量で定員を水増しすることはできないようですが、「着膨れラッシュ」により一人当たりの占める広さは確実に増えています。

「大都市圏の通勤路線では、冬季間に『着膨れラッシュ』が発生することも珍しくありません。上着やコートなどで一人一人の占有体積が増加することにより、混雑率の数字以上に乗客が体感する“すし詰め感”はさらに悪化します。実際に乗車できる人員が減ってしまうこともあるので、積み残しやそれに伴う列車遅延が発生しやすくなるのです」(川崎さん)

「早起きキャンペーン」で混雑回避?

鉄道各社は朝晩のラッシュを緩和しようと「オフピーク通勤」を呼びかけています。

1961年1月には国鉄(当時)が、首都圏の通勤各線の着膨れラッシュの緩和を目的に時差通勤を大々的に呼びかけました。地域の企業や学校などに協力を呼びかけるなどの地道な活動が奏功して、大きな効果を上げたと言います。

「近年では、鉄道会社が時差通勤者(ICカード利用者)にポイント付与などのインセンティブを与えて、時差通勤を促進しようという動きも広がっています。たとえば混雑率が最も高い東西線を運営する東京メトロでは、『東西線早起きキャンペーン』を実施。早朝帯の利用者(ICカード利用者)に商品券と交換できる仮想メダル(ポイント)を付与することで、時差通勤に対するモチベーションUPを促します。

また東京都では、『時差Biz』とネーミングされた時差通勤促進キャンペーンを行い、企業にも参加を呼びかけるとともに、達成率の高い企業を個別に表彰する制度も導入。2019年1月8日時点での参加企業は936社を数えています」(川崎さん)

厳しい寒さの日が続いていますが、ラッシュ時に電車を利用する際は、着膨れラッシュ・遅延を見込んで、早めの電車の利用することをお勧めします。