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「乗車率100%超」ってどういう状態?

2018/12/28 06:40 ウェザーニュース

今年も残すところあと数日となりました。年末年始はお盆期間中と並び、帰省ラッシュに伴い各交通機関にとって最繁忙期となります。

鉄道の混雑ぶりを伝えるニュースで、「乗車率」という数値がありますが、この数字は具体的にはどのような定義で算出され、その数値から何が読み取れるのでしょうか。鉄道ライターの川崎俊哉さんに解説していただきました。

繁忙期によく聞く列車の乗車率ってどんな指標?

鉄道の混雑状況を検証する際、乗車率という指標を用いるのが一般的です。この指標はどのように算出されているのでしょうか?

「列車の定員に対して実際に乗車した人数の数値を百分率で示したものになります。仮に定員が1000名の列車の場合、1500名が乗車していれば乗車率は150%、500名しか乗車していなければ乗車率は50%となります」(川崎さん)

また、通勤型車両の定員は座席数+立席で算出されるのに対し、新幹線などの特急列車の場合は定員の算出法が異なるようです。

「新幹線・特急に用いられる車両の定員は座席数と同数となりますので、乗車率が100%を超えている列車は、全員が着席できていない(一部に立ち客がいる)ことを示します。

基本的に『指定席』は、指定席乗車券を持っていない限り乗車できないので、乗車率150%、200%と報じているのは『自由席』がどのくらい混雑しているかを示している、ということになります。自由席は指定席のように発券状況から乗車人員を捕捉することができませんので、乗車率も目視で算出するしかないのが現状です」(川崎さん)
つまり、乗車率が130%の場合は、座席数の3割の乗客が通路とデッキに立っていることになるようです。新幹線の自由席の定員は1両あたり約65~100名(トイレや喫煙ルームなど設備の有無によって異なる)なので、その3割は20~30名です。

「新幹線・特急の車両は着席を原則として設計されているため、通路やデッキに30名もの乗客が立っていれば、車内はかなり混雑した様相を呈します。この場合はデッキや車両間の通路にも人がいるので、トイレに行くのも難儀する状況です」(川崎さん)

全席指定列車は乗車率100%超はない?

全席指定の列車の場合は、デッキで立つことは(原則として)許されませんので、乗車率が100%を超えることはありません。

「東北・秋田・北海道新幹線の「はやぶさ」「はやて」「こまち」、北陸新幹線の「かがやき」は全車指定席なので指定席券を持っていない乗客は原則として乗車できません(『立席特急券』の利用など一部例外もあります)」(川崎さん)

そのため、これらの列車が繁忙期の混雑列車として紹介されることはないようです。

「また、クルーズトレインや、夜行列車の『サンライズ出雲』『サンライズ瀬戸』も全寝台(全室)指定制なので、乗車率が100%を超えない列車であると言えます。こうした各列車では、乗務員(車掌)が列車内を巡回してカウントした乗車人員から乗車率を算出しています」(川崎さん)

暖冬傾向から一転、厳しい寒さの日が続いています。年末・年始にかけて寒気が日本付近へ南下する予想です。

急激な積雪の増加や吹雪による視界悪化などで、鉄道の遅れや運休が発生してもおかしくありません。

帰省ラッシュのタイミングで交通機関へ大きな影響が出る可能性があります。最新の天気予報に加えて、各交通機関から発表される交通情報もこまめに確認してください。
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