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キムチの王様“宮廷キムチ”を知っていますか?

2018/11/26 10:57 ウェザーニュース

日本で、最も多く作られている漬物は何か?答えは「キムチ」です。意外に思う人もいるかもしれませんが、1999年以来、国内の漬物生産量の第1位はキムチなのです。
本場、韓国には凄いキムチが存在していました。その名も“宮廷キムチ”。

かつて韓国の宮中食文化を調査・取材した発酵学者で食文化論の泰斗・小泉武夫東京農業大学名誉教授(発酵文化推進機構理事長)が宮廷キムチについて話します。

「韓国の宮廷食文化を伝承している韓福善さんという方が、“キムチの王様”ともいえる宮廷キムチづくりを披露してくれました。ふつうのキムチはヤンニョム(キムチの中の具)を白菜の葉にすりこんでいけばいいのですが、宮廷キムチは、白菜の葉の一枚一枚にヤンニョムと生ものの牡蠣、イカ、ホタテやキクラゲ、栗、松の実、梨、りんご、人参、セリ、糸唐辛子など軽く20種類を超える材料を白菜に巻き込んでいくため、たいそう手間がかかります」(小泉先生)
白菜の中には具が盛りだくさん!
「キムチを仕込む際の韓さんの身のこなしや作法、話し方などに触れるにつけ、さすがは宮中料理に携わる素晴らしい伝承者だと、その時強く感じたものです」(小泉先生)

【宮廷キムチの作り方】

宮廷キムチは別名を「ポッサムキムチ」といいます。「ポッサム」とは韓国語で「包む」という意味。小泉先生が本場で取材・調査した際の宮廷キムチの作り方を紹介します。

●材料
・野菜/白菜、大根、からし菜、セリ、長ネギ、ワケギなど
・果物/生栗など
・香辛料/ニンニク、生姜、全州産粗挽きトウガラシ、青松産中引きトウガラシ、寧越産粉引きトウガラシ
・海鮮類/生の小エビ、生ガキ、アミの塩辛など
・調味料/粗塩、塩、砂糖

●作り方
(1)白菜を二つに割り 粗塩を溶かした食塩水に40分から1時間漬ける

(2)白菜を取り出し、葉を広げ、塩をふり、重石をして一晩漬ける

(3)塩漬けした白菜を2,3回流水で洗い、しっかり水を切る

(4)白菜の葉1枚1枚の間にヤンニョム(下記参照)を挟みこむ

(5)挟み終えたら外側の葉でくるむように包み、甕(かめ)に入れる。最後に残ったヤンニョムの汁も投入

●ヤンニョム(中に入れる具)の作り方
(1)大根は大きめの短冊切り、からし菜とセリはざく切り、長ネギ斜め切り、ワケギは4,5cm、梨は千切り

(2)3種類のトウガラシ(上記)をブレンドし、水を少々加えてベースト状にする

(3)器に移した大根に(2)を混ぜ込み、その中へニンニクと生姜をすり下ろす 

(4)アミの塩辛、生の小エビ、生ガキを加えて混ぜる

(5)からし菜、セリ、長ネギ、ワケギ、梨、砂糖を入れてさらに混ぜて宮廷キムチ用のヤンニョムが完成

※18℃以上のところに一日置くと匂いがしてくるので、2日目からは冷蔵庫で保存
※「宮廷式海鮮キムチ」の場合は栗、生だこ、生ダラ、イシモチの塩辛などが使われる

白菜が甘みを出す冬の時期はキムチが最も美味しい季節です。ちなみに韓国では宮廷キムチは、お祝い事やハレの日に食べるのだそうです。